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被害者からも批判の声が

 最高裁によれば、特別保存されていた少年事件の審判記録は、全国でわずか15件とのこと。2000年に17歳の少年が牛刀を振り回してバスを乗っ取り、1人を殺害、2人にけがをさせた西鉄バスジャック事件は、例外的に記録が保存されている数少ない事例の1つだ。

 このような状況が分かった後も、最高裁も反応が鈍く、調査の実施には消極的だった。これに対して、メディアの批判が相次いだほか、神戸連続児童殺傷事件で次男を亡くした土師(はせ)守さんが記者会見を開き、神戸家裁に調査を求める要望書を提出するなど、被害者からも批判の声があがった。日本弁護士連合会も、調査と適切な保存を求める会長声明を発表。さらに、国会でも質問が相次いだ。

 最高裁もようやく重い腰を上げ、少年事件以外も含めて保存期間の満了した全ての裁判記録の廃棄を一時停止するよう、全国の裁判所に指示。神戸家裁への聞き取り調査を行うほか、有識者委員会を設けて、保存のあり方や規程の運用が適切だったかどうか検証することになった。

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 この機に、少年事件のみならず、あらゆる裁判記録を保存する意味をすべての司法関係者に周知し、保存制度を抜本的に改める議論を始めてもらいたい。