サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、1次リーグE組の日本はドイツに歴史的勝利を挙げた後、コスタリカに痛恨の敗戦を喫した。決勝トーナメント進出の条件は、12月2日(日本時間午前4時)のスペイン戦で勝利すれば確定、引き分けた場合はドイツ―コスタリカ戦の結果次第となる。日本はスペイン戦をどう戦えばよいのか、海外の記者たちが「週刊文春」に“勝利のカギ”を語った。

日本にとって重要な勝利のカギ

「スペインは常に高速パスを回し、ロングボールでプレーしようとはしません。キーパーからミッドフィールドまで、短いパスでつないでくる。そこを中盤で断ち切らないといけない」

 そう語るのは、ドイツの放送局「SPORT1」のジャーナリスト、クリストファー・ミシェル氏だ。

ADVERTISEMENT

ドイツ戦に挑む日本代表 ©時事通信社

「スペインのミッドフィールダーのレベルは高いけれど、世界最高峰ではない。ペドリもパブロ・パエスも良い選手だが、まだ若く、今までW杯の経験がない。だから、日本は早めにスペインに攻撃を仕掛け、ミッドフィールドで競り勝つのが勝利のカギだ。あと当たり前だけど、ゴール前できっちりシュートを打つこと。日本にとってはそれが非常に重要だ。多くはチャンスを得られないだろうけれど、その少ないチャンスを生かさなければならない」

防御を徹底しながら反撃の機会を窺えば、チャンスは訪れるはず

 勝利のためのキーマンとなるのは、鎌田大地だという。

「鎌田が良いパフォーマンスを見せなければ日本に勝ちはない。鎌田の(ブンデスリーガの)フランクフルトでのパフォーマンスは本当に素晴らしく、勝利のオーラを放っている。チャンピオンズリーグでも3ゴールを決めたけれど、このW杯ではその良さがうまく出ていない。フォーメーションのせいかもしれないし、自分自身にプレッシャーをかけすぎているのかもしれません。あまり考えすぎず、思い切りやってほしい」

コスタリカ戦でボールを競り合う鎌田大地 ©時事通信社

 スポーツ放送局「ユーロスポーツ」のドイツ人記者、フロリアン・ボグナー氏は「日本の強みは守備と攻撃の連携が巧みなことと、控えの選手の層の厚さだ」と分析する。「日本が2人か3人のプレーヤーでチェーンを作り、コンパクトなスタイルで守り続けていれば、反撃のチャンスは何度か訪れるはず。スペインのディフェンスは良いけれど、世界のトップレベルのものではない。鎌田や浅野拓磨のような選手がうまく機能して、有利なゾーンでボールを獲れれば、カウンターアタックとカウンタープレッシングでスペイン戦でも2点は挙げられる可能性が十分にあります。さらに、日本は先発で出場できる選手が15~18人はいる。この強みを活かし、防御を徹底しながら反撃の機会を窺い、森保一監督が適切な選手を投入することが必須でしょう」