韓国のアイドルグループ「BTS」の最年長メンバー、JIN(ジン)さん(30)が12月13日から兵役にはいる。北朝鮮との国境に近い「最前線」に配属されるという報道もあり、国中を巻き込んだ“BTS兵役騒動”はひとつの決着を迎えそうだ。

BTS最年長のJIN ©時事通信社

 一昔前ならば人気芸能人の中には病気を理由に兵役の免除を受けたり、兵役中に特別待遇の部隊に配属されるケースも多かったが、「芸能人だからと言って不平等だ」という男性国民の反発も強かった。2012年に歌手のRain(ピ)さんが当時交際していた女優のキム・テヒさんと密会するなど「芸能兵」が風紀を乱す行為もあり、現在は芸能人の特別部隊は廃止。兵役をまっとうに勤めあげることが芸能人が人気を維持するうえで重要になった。

 兵役では基礎訓練や武器の取り扱いに加えて、雪山で犬を捜索したり危険な薬品の嗅ぎ分けをすることもあるという。長期間拘束されるので交際相手との関係が悪化して別れるカップルも多い、韓国人男性にとってまさに人生の「難所」なのだ。

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「韓国人の男性は18~28歳の間に、18カ月ほど兵役に就く義務があります。芸能人や政治家の息子がさまざまな理由をつけて免除されていたことが明らかになると、世論は批判一色になります。特に自らの青春期を奪われる男性は、その義務を免れようとする人間に対する反発は強い。それでもBTSの兵役が議論になったのは、彼らの成功が規格外だったから。国連の会議場で歌ったグループなんて世界中見渡しても彼らしかいないわけですからね。そのグループが兵役で活動停止するのは『国家の損失』という意見も最後まで強くありました」(大手紙国際部記者)

「韓仏友情コンサート」の公演後にBTSと記念撮影をする文在寅大統領(当時)と金正淑夫人 ©時事通信社

 ジンさんは12月4日に30歳の誕生日を迎えた。ジンさんが28歳になる直前の2020年12月にできた“BTS法”と呼ばれる法律によって、兵役の開始を延長することが可能になっていたが、ついにこのタイミングで兵役に就くことを決断した。

「世論調査ではBTSの兵役免除について賛否が大きく割れており、時期によっては免除賛成派が半数に迫ることもありました。しかしジンさんの30歳の誕生日が近づくにつれて『免除は不平等だ』という声が大きくなり、本人も『最初から(兵役に)就くつもりだった』と宣言しました。『最前線への配属でも躊躇しない』という発言も飛び出していたんです」(同記者)