神戸山口組から脱退した独立組織である暴力団「池田組」組長の池田孝志が10月26日に白昼堂々、岡山市内の理容店で散髪中に襲撃された抗争事件を受けて、池田組と6代目山口組が、12月8日から特定抗争指定暴力団に指定されることになった。期間は3カ月。特定抗争指定暴力団に指定されるのは、全国で3例目だ。「警戒区域」は岡山市全域となる。

 池田組長は市内の理容店で散髪中に、6代目山口組山健組系幹部から襲撃を受けていた。池田組長は無事だったものの、“ヒットマン”は用心棒の返り討ちにあい、頭部から流血するなど負傷して逮捕された。

 当時の状況や、6代目山口組が池田組組長を含む幹部らを相次いで襲撃してきた背景を詳報した記事を再公開する(初出2022年11月12日。肩書き、年齢は当時のまま)。

ADVERTISEMENT

◆◆◆

 6代目山口組と神戸山口組の対立抗争状態が続くなか、神戸山口組から脱退した独立組織の暴力団「池田組」組長の池田孝志が10月26日の白昼、岡山市内の理容店で散髪中に襲撃された。事件を引き起こしたのは、6代目山口組山健組系の幹部だった。

 対立抗争は7年が経過し8年目に入っているが、池田襲撃は組織のトップが狙われた初めてのケースとなった。最近になって対立抗争事件が続発しており、警察当局は全国で取り締まりを強化、押さえ込みを図るとしている。

襲撃側の男は返り討ちに遭い頭部を負傷、店内は血まみれ

 事件が起きたのは10月26日午後1時すぎ。岡山市内の理容店から、「男が殴り込んできた。人が出血している」と110番通報があった。池田の散髪中に、男が大声で「池田ぁー!」と叫びながら店内に押し入り、刃渡り約18センチのサバイバルナイフを振り回し襲撃を試みた。しかし、ボディーガードの池田組組員2人に取り押さえられた。池田にけがはなかったが、襲撃側の男は返り討ちに遭い頭部を負傷し、店内は血まみれとなった。

事件が起きた理容店

 殺人未遂容疑で逮捕されたのは6代目山口組山健組系の幹部だった。岡山県警の取り調べに対して、「刺してやろうと思った」と容疑を認めている。事件は住宅や商店が立ち並ぶ地域で、一般市民の誰もが定期的に利用する理容店で起きたため、一帯は恐怖に包まれた。近くの小学校では児童を一斉に下校させるなどの影響が出た。

負傷して血を流す山健組系の幹部

 さらに、同日夜には、岡山市内の池田の自宅マンションの駐車場に停めてあった車に男が拳銃を発砲する事件も起きている。逮捕されたのは6代目山口組系幹部だった。

 池田組は岡山市に拠点を構え、不動産事業など「表の事業」も手掛ける資金力が豊富な組織である。6代目山口組が分裂した際に、山健組などとともに神戸山口組を結成した主要組織で、6代目山口組の傘下組織や組員らの引き抜きなどで積極的に活動していた。