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──エイトさん、改めて合同結婚式とはどういったものなんですか?

エイト はい。入信した信者が「条件」と呼ばれるいろんな修行を積んで、いろんな条件を達成して、たとえば信者を何人勧誘するとかした上に、ようやく受けられるのが合同結婚式=「祝福」ってことなんですね。

 合同結婚式で聖酒、聖なるお酒を飲むんですけれども、それによってすべての原罪が浄化され、清い体になって相手と結ばれて。いろんな儀式があるんですけど、初夜の儀式とか体位の指定とか、それらを経過して最終的に生まれた子どもが、原罪のない神の子、「祝福二世」ということです。

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──初夜と体位。どんな手続きで性交を行うかということも、決められているのですか?

エイト そうなんです。四つん這いになって、こん棒でお尻をドンと叩いてサタンを出すんですね。そういう儀式のなかで、体位が全部、初夜はこういうかたちでとか、次の日はこういうふうにとか、全部決められてるんです。

──純潔教育に限らず、そこまで厳格に性愛がコントロールされているのですね。黒沼さんは、生まれながらにして2世ということですと、教義上は、「原罪が払われた状態で生まれてきた」と語られてきたのでしょうか?

黒沼 というふうに聞いてるんですけれども、かなり厳しく、怒られながら育ってきました。

「真のお父様だよ」子ども時代、日常の中の宗教

──物心ついた頃から、宗教とともに生活されていた。日常のなかでは、宗教とはどういうふうに関わっていたんですか?

黒沼 通学が始まって、ほかの人の家庭とは違うんだなっていうのが多々ありました。友達ができて遊びに来たときに、文鮮明教祖の写真がドンて飾ってあるのを見られて、「これ誰?」「真のお父様だよ」みたいなことになったり、噂をされて、いじめに発展してしまったりとかありました。

──友達が来たときに驚かれるっていう。

黒沼 そうですね。それが一番多かったですね。

──逆に、友達の家に行ってカルチャーショックを受けることはあったんですか?

黒沼 やっぱり教祖の写真がないっていうところが一番大きかったですね。

──あるのが当たり前だと思っていた。

黒沼 そうですね。

──学校行事や学校での生活には、苦労などはなかったんでしょうか?

黒沼 そこについては苦労はないんですが、やはり礼拝があって、日曜日はもっとゆっくり寝ていたいのにな、みたいのがあったりとか。そういうのはありました。

──礼拝というのは、どういったものなんですか?

黒沼 私は少し特殊なかたちで、教会には通ってないんです。同居している祖母の身体が不自由だったので。家庭内礼拝というかたちで、家族で集まり、父親が説教して、いろいろ教義を教えられました。

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──教義というのは、たとえば、どういったものを教わるんですか?

黒沼 基本的には、旧統一教会の宗教の聖書に従って、こういった解釈でこういうふうに受け取るべきだというものを、いろいろ教えられるんです。難しい分厚い本とか聖書とかがありました。具体的にと言われると、私は熱心な2世信者ではなかったので忘れてしまっていますが。

──特に印象的なものはありましたか?

黒沼 そうですね。基本的にキリスト教の聖書が母体にはなってるので、あまり大きくは変わらないところはあるんですけれども、やっぱり婚前交渉。結婚前の性交渉については厳しかったと記憶しております。それは絶対にいけないと教えられてきました。