91年11月30日から91年12月7日の間、文鮮明は北朝鮮を訪問し、金日成主席との会見を許可された。彼らの議題は南北統一、北朝鮮の核施設の査察、北朝鮮に対する投資を海外在住の南北朝鮮の市民たちが開始するよう奨励することを文鮮明が保証することなどであった。それに加えて、北朝鮮の金剛山観光開発のための合弁会社の設立や、豆満江開発への投資、北朝鮮の元山軽工業基地建設への投資などを含む、北朝鮮の経済再構築のための経済協力に関する合意が交わされた。会談において、文鮮明は北朝鮮に4500億円を寄贈したとされている。
(中略)1993年、統一教会は米国ペンシルベニア州にある不動産の一部を売却している。その売却利益は約300万ドルにのぼり、中国の銀行を通じて韓国の企業「サムスン・グループ」の香港支社に送金された。その資金はのちに金正日に誕生日祝いとしてプレゼントされた〉
香港でマネーロンダリング
今回、柳氏は複数の統一教会元関係者に接触する中で、この「DIA文書」の裏付けとなる重要な証言や資料を入手した。
統一教会が北朝鮮で展開していた自動車メーカー「平和自動車」の元最高責任者は、北朝鮮への“資金提供ルート”を明かした。
「日本から北朝鮮に直接送金したら、大変なことになります。日朝の外交関係は緊迫しているので。まず韓国に送金し、韓国でマネーロンダリングをした後に香港に送る。さらに香港から平壌に送金される。これが基本的な流れです」
また、柳錫氏が別の元統一教会関係者から入手した資料には、教会が北朝鮮に送金した金額が具体的に記録されていた。統一教会日本本部運営局の2007年の資料を見ると、教会の関連団体を通じて、毎月4000万円から4800万円の資金が北朝鮮に定期的に送金されたと記されている。
「ロケット3人組」の1人と親密交際
問題は、こうした資金が何に使われていたのかである。
この多額の提供資金の使途について、統一教会の元幹部級関係者が指摘する。
「4500億円の相当部分が軍事関連に費消されたと思います。当時、教会内部でも幹部の間でそのような観測が出ていましたから」