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「岩」のような前田敦子、大島優子は?
前田敦子が「岩」だとすると、「風」を感じるのが大島優子である。連続ドラマの主役も脇もピタリとハマる可愛さ、軽やかさ。子役出身だけあり演技力も確かで、私はAKB48時代の「マジすか学園」から、卒業後も「カエルの王女さま」「東京タラレバ娘」「神様のカルテ」「七人の秘書」……と、作品ごとに着実に好きになっている。
ただ、AKB時代は前田が「陰」、大島が「陽」に見えていたのが、今ではイメージが逆になっている。特に寂しい演技をしているわけでもないのに、大島からデラシネのような浮遊感が見え、これがすごい迫力で胸に迫ってくるときがあるのだ。
誰よりも激しく怒るが、ドスンと根を持つ感のある前田敦子。常に安定しているが、ふっと遠くへ飛んでいきそうな大島優子。
この不思議なアンビバレンスを感じさせる2人が同じ時期にAKBにいて、切磋琢磨したのはなんとも運命的。だが、もうその伝説を大仰に語る必要がないほど、2人が個の花を咲かせているのがなによりも素晴らしい。
かつて「僕らは夢見てるか?」と問いかけてきた少女たちの戦いは、見ているこちらが怖くなるほど激しく、しかも急いていた。そんな壮絶な経験をエネルギーにして、30代になってさらに輝く2人の姿に、「続けていくことで新たな花が開く、自分の様々な面を魅力に変えることができる」と勇気をもらえる。