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 この点は、話を聞いた50代の現役組幹部の語りが端的に表している。

「いま、ヤクザ厳しいねん。辞めるきっかけ探している人多いと思うで。ワシ自身も、迷子になってるんちゃう? こん歳のワシらが組やめて何ができる。たどり着くところは生保やろ、みじめや。この地元には13歳から住んどるんやで、離れたないしな。もう、この歳や、いまさら辞めても一般人が受け入れてくれるとは思われんな」

 過去の生き方を悔い改め、犯罪とは無縁な生活で生き直したいと更生を決意しても、それを認めない社会、再チャレンジの機会が与えられない不寛容な社会が、いまの日本なのだ。元暴や反社というラベルを一度貼られたら、ポストイットのようには簡単に剥がすことはできない。

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 そうすると、暴力団離脱者は、食うために再び犯罪社会に戻らざるを得ない。やがて、彼らは匿名の元暴アウトローとなり、特殊詐欺などの犯罪に手を染める。

「暴力団辞めて仕事が無くても、それは自己責任じゃん」とおっしゃるのは、ごもっとも。しかし、それは裏を返せば、元暴アウトローによる犯罪被害に遭ったとき「あなたが無関心だったからでしょ」と言われても仕方ない。

私たちはなぜ元ヤクザの社会復帰を支援するべきなのか

 犯罪社会に生きてきた人たちの更生や再チャレンジを社会で支援すべき理由は、「新たな被害者を生まない」社会防衛のためということに尽きる。

 暴力団員として生きてきた彼らでも、平和に、楽しく、希望をもって生活したいと願わないわけではない。けれども、彼らは、生まれながらにして負っている何らかの社会的ハンデ(貧困、家庭環境の不遇、虐待・ネグレクトなど)により、真っ当に生きることができなかった人たちが圧倒的に多い。こうした生来的な事情を一顧だにせず、自己責任で片づけることには違和感がある。