知られているだけでも富士山は何十回もの噴火をしてきている。たとえば平安時代は400年間あったが10回も噴火したのが目撃されている。歴史に記録されていない有史以前の噴火も、地質学的な調査から分かっている。
しかし不思議なことに、1707年の「宝永噴火」があって以後、富士山は噴火していない。そこから現在に至るまで約300年間も噴火が見られないのは、過去の噴火歴からすると異例の休止期間である。世界的に見ても、長い休止期間のあとの噴火の規模は大きいことが多かった。これは不安要素である。
過去にいろいろなタイプの噴火をしてきた
富士山が、これから永久に噴火しないことはあり得ない。火山学でいえば、富士山は「いつ噴火しても不思議ではない状態にある活火山」なのである。
だが、いつ、どんな形式で噴火するのか、それを予知することはいまの科学では不可能である。噴火の予知や、いまどのくらい噴火に近づいているかを学問的に知ることはとても難しい。
じつは、この数年来、富士山には不思議なことがたくさん起きている。河口湖の水位が異常に下がったり、富士宮市の住宅地で水が噴き出したり、林道に深い亀裂が走ったりしている。以前の記録はなく、前兆かどうかは分からない。
富士山は「噴火のデパート」で、過去にいろいろなタイプの噴火をしてきた。今度、どんな噴火が起きるかは分からないのが富士山なのである。
噴火口が山頂なのか、東西南北どこかの山腹なのかによって噴火の影響は大幅に違ってしまう。宝永噴火は東南の山腹からだった。
いままでの歴史上の噴火で、とくに大きな規模の噴火だった富士山の三大噴火は延暦の噴火(800~802年)と貞観の噴火(864~866年)と宝永噴火(1707年)である。