マグニチュード9.0という地球全体でみてもめったにない規模の東日本大震災から10年。

「もう10年か」という意識に陥りがちですが、100年、1000年、そして10億年という単位で事象をとらえる地球科学の「長尺の目」でみると、「まだ10年」にすぎません。

「東日本大震災は続いている」と警鐘を鳴らすのが、テレビなどでも積極的に情報を発信している鎌田浩毅・京都大学教授です。

ADVERTISEMENT

2月の余震で土砂崩れ

 月刊「文藝春秋」4月号で鎌田教授は、日本には以下に示す4つの大災害が迫っていると指摘しています。

(1)マグニチュード8級の東日本大震災の余震
(2)首都直下地震
(3)富士山の噴火
(4)西日本大震災(南海トラフ巨大地震)

 なぜ、こうした災害が迫っていると言えるのか。それは過去の研究の蓄積です。地球科学では「過去は未来を解く鍵」という考え方があります。いま挙げた4つの大災害は、過去の災害を分析した結果、発生が予測されているのです。

 では、ひとつずつ説明していきましょう。

(1)マグニチュード8級の東日本大震災の余震

 2021年2月13日、マグニチュード7.3の余震が発生し、1人の方がお亡くなりになりました。

 余震の数は時間の経過とともに減っていくものですが、東日本大震災があまりに巨大だったため、警戒すべき時期が長く、震災から10年たった現在でも、今後20年間は余震を警戒する必要があります。

鎌田浩毅氏(京都大学大学院教授)

 しかも、余震の最大規模はマグニチュード8級になる可能性があります。過去の研究では余震の最大規模は、本震のマグニチュードから1を引いたものだと分かっています。マグニチュード8といえば、それだけでも歴史に残る大地震ですが、東日本大震災では本震がマグニチュード9.0と巨大だっただけに、余震もそれだけ大きいのです。

 しかも問題は地震が発生するゾーン(震源域)が拡大していること。どの地域が警戒するべきなのかは、記事をご覧ください。

(2)首都直下地震

 首都圏は200~300年の間隔でマグニチュード8級の大地震が発生し、その間にもマグニチュード7級の地震がいくつも発生しているなど、地震リスクの高い地域です。

 なかでも警戒されるのは、その首都圏の直下、つまり真下で地震が発生することです。

 しかも東日本大震災の後、そのリスクが高まっているのです。そのメカニズムは記事を参照していただくとして、ここでは最も被害が大きいとされる都心南部直下地震(マグニチュード7.3)の被害想定を以下のリンクでご紹介します。

http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/74/special_01.html