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観客からも手拍子と「マッスル」の合いの手が…

 大会は、東京・池袋のバーで働く「筋肉女子マッスルガールズ」のパフォーマンスで開幕した。パフォーマーの4人が音楽に乗せて「マッスル」コールを繰り返すと、自然と観客からも手拍子と「マッスル」の合いの手が沸き上がり、会場のボルテージはいやがうえにも高まっていく。

「筋肉女子マッスルガールズ」のパフォーマンスで会場が熱くなる Ⓒ文藝春秋/撮影・上田康太郎

 予選のトップに登場したのは定年退官したOB部門の出場者たち。表情に刻まれた皺が戦後日本の平和の重みを物語るが、対照的にピンと張りのある上半身を目にした観客からはため息が漏れた。OB部門と同じく新設されたレディース部門には5人がエントリーした。すらりと引き締まった身体でポージングすると、男性陣が湧き上がった。銃後の守りなどという言葉が過去になった瞬間だった。

 選手は司会の号令に合わせて正面、側面、背面、側面とアピールする部位を変えながらその場でくるとひと回りする。壇上で選手が動くたびに歓声が上がっていたが、最も盛り上がったのは自衛隊ならではの「敬礼ポーズ」だった。

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OB部門の入賞者たち。敬礼ポーズは伊逹ではない Ⓒ文藝春秋/撮影・上田康太郎

 全6部門の予選が終わると、小休止を兼ねた観客による投票が始まる。アイドルのコンサートさながら、「ノーベル筋肉賞」と書かれた団扇を手に熱い眼差しを向ける20代女性は「知り合いが出場するので初めてこういうイベントに来ましたが、敬礼ポーズが一番かっこいいです。誰に賞を贈るか悩んでいます」と満面の笑顔。家族で訪れたという会社員男性(24)は「男から見ても惚れる肉体美。選手それぞれの筋肉に個性があり、誰に投票していいのか分からない」と悩ましげだった。

 OBとレディースの両部門は出場した全員が大会後半の決勝に進出を果たす。マスターズ、陸上、海上、航空の4部門はそれぞれ、審査員のお眼鏡にかなった15人に絞られ、予選と同じく全員が各ポーズを再び披露した。審査員がもう一度見たい選手を選ぶピックアップ審査といういわば“おかわり”制度もある。選ばれたエントリーナンバーがコールされると、当の選手以上に観客から喜びの声が上がる。