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「少年たちはジャニーズでデビューしスターになることを夢見ている。彼らは寝泊まりする合宿所で被害に遭うのですが、断るとステージでの立ち位置が露骨に悪くなったり、無視されたりするのです」

 拒めば陰湿ないじめや排除があると、私たちが説明すると、彼らは「ではなぜ、公の場で告発しないのか」と続けた。

「日本においては、性加害を受けた時点で被害者が世間的な差別を受けてしまうからです。

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 同性愛者の性的志向は尊重されるべきですが、未成年、ましてや性的な知識が十分でない小・中学生の少年に対し同性愛行為を強いるのはまったく次元が違う話です」

 そう語ると、BBCスタッフは大きく頷いた。さらに同じメディアの一員として素朴な質問をぶつけてきた。「なぜ、日本のメディアは取り上げないのか」と。

無視を決め込んだ国内メディア

 当時、業界内では反響があったが、実際に後追い報道する主要メディアは皆無で、テレビやスポーツ紙は「ジャニーズを敵にしたくない」「広告絡みでNG」と忖度を決め、硬派を標榜する大新聞は「特殊な芸能界の話」と矮小化した。

 一方でニューヨーク・タイムズやAP通信など海外メディアは積極的に報じたが、国内は無風状態。東京都青少年健全育成条例や児童福祉法、児童買春・児童ポルノ禁止法に抵触するのではないかと疑義を呈され、この問題は衆議院特別委員会でも取り上げられたが、それについても主要メディアが報じることはなかった。