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《十津川警部、最終回へ》43年の歴史に幕…俳優・高橋英樹が語った『西村京太郎トラベルミステリー』撮影秘話

《十津川警部、最終回へ》43年の歴史に幕…俳優・高橋英樹が語った『西村京太郎トラベルミステリー』撮影秘話

高橋英樹さんインタビュー

source : 文藝出版局

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ, 読書, 芸能

note

バラエティ番組にあった「学び」

「当時、小学生だった娘(高橋真麻)に、『パパは、俳優だよね。でも私の友達は誰も知らないんだよ。SMAPと一緒にテレビに出られない人は芸能人じゃないよ』って言われたんです。そりゃそうですよ、子供は時代劇なんて見ませんからね(笑)。それなら、これまで縁がなかったけれど、バラエティに挑戦してみようか!と。有難いことに、SMAPの番組に出演させてもらえた。ここでも『学び』がありました。出演者たちは、司会者に振られたら、すぐさま当意即妙の答えを返さなきゃいけない。さんまさんに何かを振られて、上手く返せなかったら、2度とチャンスをもらえないんですからね(笑)。この『即時性』は、芝居をするうえで、とても勉強になりました。このときも、松緑師匠の言葉が胸に蘇りました。『すべてが勉強なんだ』と」

 俳優として成長を続ける高橋は、「2時間ドラマ」も牽引。代表する長寿シリーズが「西村京太郎トラベルミステリー」だ。2000年のシリーズ第34作から、十津川警部役を演じてきた。そして、高橋が演じる十津川は、いつも現場を走り回っている。

「石原裕次郎さんは、デスクに座って、部下の電話を受けて、『捕まえてこい』と指示をして、最後は『ああ、ごくろうさん』と。これがかっこ良かった。私も、もうそのくらいの年齢ですが、『亀さん(亀井刑事)、行こう!』と、コートを持って、事件現場へ走っているんですよね」

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「西村京太郎トラベルミステリー」は、観光案内も大事な要素

 ドラマ「西村京太郎トラベルミステリー」の魅力の一つは、作品の舞台を、高橋さんと亀井刑事役の高田純次さんが、駆けまわることにある。名所、旧跡、レストランを二人が巡るのだ。

高橋英樹さん(右)と亀井刑事役の高田純次さん

「犯人を捕まえるのが小説、ドラマの本筋なのですが、観光案内も大事な要素ですよね。その地方のいい場所、いい旅館、人々の温かさを余すことなく伝える。ご覧になった方に、『この舞台に行ってみたいな』と思わせるドラマを目指していました。このシリーズの村川透監督は、『ここは観光したくなる』という場所も徹底的に撮影していましたからね。『犯人が観光地に行くはずがない』なんて、言わないでくださいね(笑)」