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客がホテルに訴えたエリサへの不満

 エリサは、当時、バンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学の学生で、カリフォルニア州に1人旅に訪れていた。サンディエゴ動物園を訪ねた後、1月26日にロサンゼルスに入り、28日にセシル・ホテルにチェックインしている。

 最初は相部屋に宿泊していたが、同室の客がエリサの態度がおかしいとホテルに不満を訴える。エリサが「家に帰れ」「向こうへ行け」などの書き置きを残すというのだ。また、部屋に鍵をかけ、同じ部屋をシェアしている宿泊客に入室するためにはパスワードを言うよう求めたりもしたと言う。ホテルのマネージャーに対しても「クレイジー」と罵倒。そのため、エリサは1人部屋に移された。

 エリサは、ホテルを2月1日にチェックアウトし、その後、サンタクルーズへと北上することになっていた。旅行中、両親に毎日のように連絡をしていたエリサだったが、1月31日、両親の元にエリサからの連絡は入らなかった。心配になった両親は娘が行方不明になったと警察に通報、警察はホテル内を捜索したものの見つからず、19日後、屋上の貯水タンクに浮かんでいるエリサの遺体が発見されたのである。

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エリサ・ラム ©AFLO

 ちなみに、最後にエリサを目撃したとされる、ホテルのそばにある書店のオーナーは、エリサが家族にあげるための本を買っていたと話している。

 事件は様々な謎を呼んだ。

何者かに追いかけられていたのか

 エリサが行方不明になってから2週間後、警察は、エリサが最後に目撃された1月31日に、エレベーターの監視カメラが映し出したエリサのビデオを公開したが、その様子が奇妙だとネットで大きな話題になった。エリサの両親の母国である中国のネットでもそのビデオが拡散され、何百万人もの人々が視聴した。

 エリサは、開いたままのエレベーターの中で慌てた様子でボタンを押しまくったり、エレベーターの外に身を乗り出してまるで誰かいないか確認でもするかのように左右を見ている。かと思えば、身を隠すかのように、エレベーターの隅に縮こまって直立している。また、エレベーターの外で、目に見えない誰かと話でもしているように、両腕をヒラヒラと動かしたりもしている。

 犯罪心理学者もこの時のエリサの様子について「彼女は誰かから隠れようとしているように見える。とても奇妙だ」と指摘した。

 エリサは何者かに追いかけられていたのだろうか? 実際、エリサは旅行中に誰かと出会えたらとタンブラーのブログに書いていたという。そのため、ネットでは、エリサは誰かと出会い、その人物と上手く行かず追いかけられていたのではないかという憶測もされた。また、エレベーターが閉まらなかったのは、誰かが閉まらないように押さえていたのではないかという声もあがった。