プロ野球・今オフ最大のサプライズと言えば、中日が阿部寿樹内野手(33)を交換要員に楽天の涌井秀章投手(36)を獲得したトレードではなかったか。
DeNAにトレードした京田陽太内野手(28)は今季、試合中に守備のミスで2軍に強制送還されるなど“冷遇ぶり”から放出は既定路線とみられていた。しかし、阿部は今季、貧打の野手陣で貴重な得点源であり、一方の涌井はチームの強みの先発投手で、しかも36歳という高齢で、ミスマッチにも映る。
二遊間の主力が抜け、「中日大丈夫」がトレンドワードになる端緒となったトレードの内幕を探った――。
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ドラフト前から準備
中日は今秋のドラフト会議で、立浪和義監督(53)の要望で二遊間の即戦力を中心に指名した。スカウトが長年、調査してきた選手を変更してまで二遊間に固執したのだ。
「あからさまなポジション偏重の補強だったので、早くから立浪監督の頭には内野でトレードがあるようだった。特に京田はその最有力候補とみられていた。実際にその通りになったが、驚いたのは阿部という人選だった」(中日のチーム関係者)
今季は133試合に出場し、本塁打こそ9本しかなかったものの、57打点と、ともにダヤン・ビシエド内野手に次ぐチーム2位。脂が乗り切った中心打者で、来季もポジションは不動かと思われた。前出の関係者がチーム事情を明かす。
「涌井が欲しいという話は与田(剛)前監督の時代からあった。交換要員には阿部のほか二、三塁で定位置が阿部と重なる高橋(周平内野手=28)の名が挙がっていた。天秤にかけた結果、阿部の放出になった」
なぜ阿部だったのか。