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――「AV女優の子どもは絶対に幸せになれない」という一言やバッシングに対してどのように向き合ったのでしょうか。

蒼井 バッシングは想像どおりだったんで、「大丈夫、私はあんたの親じゃないから」って感じですかね。

 今後、私から子どもたちにAV出演のことを話すつもりはないですけど、ネット時代ですから、いつかは自然と知ることになりますよね。だから今の私ができることは、“そのとき”に備えて子どもとしっかり関係性を築いておくことかなって。私自身「蒼井そら」をやめる気はないですし、過去は消せないですから。

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――ちなみに、蒼井さんのご両親は過去のお仕事を知っていますか。

蒼井 デビューしてすぐ親バレしましたが、母は「賛成はできないけど、あなたを信じてるから応援する」と。父もずっと変わらない態度で私と接してくれました。私の子育ての見本、羅針盤はまちがいなく両親ですね。AVに出るなんて親不孝な娘だと思いましたけど、いつでも私のことを信じて尊重してくれるんです。

20代は“セックス好きのいやらしい子”、という目が怖くて外を歩けなかった

――そんな素敵なご家族の支えもあって今年デビュー20周年を迎えられたんですね。改めてキャリアを振り返っていかがですか。

蒼井 誇りを持って仕事をしていた一方で、この職業を世間に認めてもらおうと思ってやっていたわけでもないし、いくら有名になっても家族に申し訳ない気持ちが消えなかった。そういういろんな気持ちを丸ごとひっくるめて淡々と、キャリアとして受け止めている、という感じですね。

 もう10年以上作品には出ていませんが、今でも「お世話になりました」って声をかけてもらいます。「その節はお世話してました」って返してます(笑)。

――蒼井さんが現役で活躍していた時代から、業界は変わりましたか。

蒼井 後ろ指をさされる職業じゃなくなったというか、明るい感じになりましたよね。女の子から声をかけられると「なんで私のこと知ってるの?」って感覚がずっとあったんですけど、やっぱり『恵比寿マスカッツ』とかで地上波のテレビに出た影響は大きかったなと思います。

――そして結婚してお子さんを育ててという、キャリアの「その先」も見せてもらっています。

蒼井 昔一緒に活躍していたAV女優さんも、子どもを持った人は多いですよ。もう普通の生活をしているというか。私自身、保育園で会うお父さんお母さんは私のことを「蒼井そら」だなんて思ってもないし、知りもしないと思いますね。

――今はアダルトの世界で生きていたことを枷(かせ)のように思わなくてもいいと。

蒼井 本当に今はそうなってきてますよね。私が出演していたときはSNSもさかんではなかったから、「AV女優」が「人間」だと思われていなかったというか。裸を仕事にしていることで自動的に“セックス好きのやらしい子”と見られるのがキツくて、20代の頃は怖くて街も歩けなかったです。

 

写真=山元茂樹/文藝春秋

ヘアメイク=Nao

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