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「第一印象は変な匂い」「女性を描くのは苦手」…それでも“こづかい万歳の妻”が漫画家・吉本浩二(49)の才能と人柄にベタ惚れした理由

「第一印象は変な匂い」「女性を描くのは苦手」…それでも“こづかい万歳の妻”が漫画家・吉本浩二(49)の才能と人柄にベタ惚れした理由

こづかい万歳の妻インタビュー #1

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『漫画アクション』がつないだアクション婚

――奥さんは『漫画アクション』(双葉社)の愛読者で、職場でのあだ名も「アクション」だったそうですが、吉本先生との馴れ初めにも『漫画アクション』が関わっているそうですね。

こづかい万歳の妻 はい。私は夫が『漫画アクション』で連載していた『日本をゆっくり走ってみたよ』という作品が好きで、単行本も持っていたんですよ。

 たまたま私が双葉社の編集さんとも知り合いで。その方と夫が、私のことを知っている漫画家さんたちと一緒に飲んだ際に私の話題になったらしく、その日のうちに「吉本君が彼女を探してるみたいだから今度会ってみたら?」と連絡が来たのが出会いのきっかけです。

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――『日本をゆっくり走ってみたよ』がお好きなんですか! ドラマ化もされた実話ですが、「好きな人にふさわしい男になるためバイクで日本一周する」という吉本先生の行動は空回りする部分も多く、「えっ!?」と引っかかる部分もありそうな……。

こづかい万歳の妻 正直ちょっと女性から見ると、まぁストーカーじみているというか、常軌を逸しているというか……(笑)。でも漫画としてはすごく好きなんですよね。ラストは読むたびに号泣しちゃいます。だから実際に作者に会えるとなって、楽しみにしていました。

――実際お会いしてみて、いかがでしたか?

こづかい万歳の作者で、主人公(?)の吉本浩二先生 ©吉本浩二/講談社

こづかい万歳の妻 う~ん、あまり良い印象ではありませんでした(笑)。そのとき夫は緊張して汗だくだったので、ちょっと変な匂いがしたんですよね。だから一緒にご飯を食べて、「今日はありがとうございました」以上でも以下でもなかったんですが、その後の向こうからのアプローチがすごかったんですよ。

 朝昼晩と毎日メールが来ていたのですが、急にメールが来なくなって、「あれっ!?」と。不摂生な生活で倒れたんじゃないかと心配になって電話したらすごく喜んでくれて、またデートすることになりました。メールが来なかったのは、単に〆切直前でバタバタしていたからだそうです。

――結果的に「押して引く」恋愛テクニックを使われた形に……。

こづかい万歳の妻 それで結婚なんてことになるから人生わからないものですよね。

――でも漫画を読む限り、すごく相性が良さそうなのは伝わります。

こづかい万歳の妻 いや~、割れ鍋に綴じ蓋じゃないですけど、変なふうに噛み合っている感じはあります。

酒量に比例して深まる「妻の本音」©文春オンライン

――おふたりの馴れ初めから結婚までは、『日本をゆっくり走ってみたよ』の後日談として漫画化もされていますよね。その読み切りだと、奥さんは交際中から吉本先生の行動をいろいろ叱っていらっしゃる。

こづかい万歳の妻 「なんでひとりで全部食べちゃうの?」とか「荷物持ってくれないの?」とか(笑)。

――指摘していること自体は至極真っ当ですよ! 吉本先生ご自身も作中で、あまり女性経験がないとは言っていますよね。