キャバ嬢、警察官、教師、グラドル――。全く違う人生を選んだ4人はなぜリングに辿り着いたのか? 熱狂する「女子プロレス」の世界に迫る(全4回の3回目/#4に続く)。
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女子プロレスラーのレディ・Cは身長177センチ。日本の現役女子プロレスラー最長身を誇り、ジャイアント馬場の技を使った迫力あるファイトを魅力としている。
レディ・Cは、元家庭科教師という異色の経歴の持ち主でもある。激務に心が潰れそうになったとき、支えてくれたのがプロレスだった。自身もプロレスラーになった今、「プロレスに恩返しする」のが目標だ。
激務の教員時代 トイレで涙が溢れることも……
――もともとは家庭科の先生だったんですね。
レディ・C はい。ぬいぐるみの洋服を作ったりするのが昔から好きで、服飾デザインを学べる大学に進みました。だから洋裁和裁、型紙作りまで一通りできますよ。プロレスファン時代、選手に頼まれてコスチュームを何着か作ったこともありますし、デビューしてからもリングコスチュームは基本的に自分で作っています。
服を作ったりデザインする仕事に憧れていましたが、大学で教職の授業を取ってみたら、すごく楽しかったんです。家庭科と聞くと、調理実習とか洋裁といった昔ながらの授業内容をイメージする人が多いと思いますが、実は今は違うんです。年金やクレジットカードの仕組みや老後の話までして、生徒にライフプランを想像させるような内容になっているんですよ。服飾メインで学んできた私にとっては、自分自身も勉強になる部分が多く、とてもやりがいのある仕事でした。
――学校の先生は大変そうなイメージがありますが……。
レディ・C そうですね。毎日終電帰りで、そこから自宅で授業のプリントを作って、翌日は朝イチで起きて……という生活でした。常に睡眠不足で、栄養ドリンクを飲みながら、なんとか乗り切っていましたね。生徒を飽きさせないように授業を工夫するとなると大変でした。でもやっぱり良い授業をやれたら生徒の反応も違います。年齢が近いぶん、お姉ちゃん感覚で接してくれて、生徒とも仲良くやれていたと思います。仕事自体はすごく楽しかったです。
……ただ、授業の準備に部活や委員会、学校行事とやることがいっぱいなんですよね。体力的にキツイだけじゃなくて、メンタルも不安定になってしまって、学校のトイレで涙が急にあふれて止まらないこともありました。
人生を変えたプロレスとの出会い
――そんな教師時代に出会ったのが、プロレスだった?