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手紙に綴られた後悔の念

〈お父さん、お母さん、じいちゃん、ばあちゃん、啓介(次男・仮名)、亮介(三男・同)本当にごめんなさい。俺、本当にバカなことしたと毎日後悔しよる。本当にごめんなさい。

 義母と生活してなければ、こんなことになってなかったかもしれん。義母は、自分に都合のいいようにしかせんかった。とても気分屋でわがままやった。俺でも、そんな義母とうまくやっていこうと頑張ろうとしたんだよ。

 でも宮崎の家には、俺の居場所はなかった。家に帰ってもゆっくりできないし、ストレスがたまるだけやった。仕事にいってるほうが幸せやった。義母から毎日のようになじられ、俺の親の文句を言われ続けてきた。お父さんとお母さんは、俺らのためにいろいろしてくれたのに、感謝のかけらもなかった。くみ子も義母にながされ、俺の味方をしてくれんかった。毎日が苦しくて、とても悔しかった。本当に地獄やった〉

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 この後、手紙では、〈3人を殺していい理由にはならないと警察に捕ってから気付いたんだ〉と後悔の念を綴る。しかし同時に、警察にすべてを話し、〈すごい楽になった〉とも書いている。そして、こう続く。

〈俺もうみんなに迷惑をかけないようにしようと思ったけど結局ダメやった。最後はとんだ大迷惑をかけるハメになってしまった。本当にごめんなさい。

 お父さん、お母さん、ばあちゃん、じいちゃんと啓介と亮介の体調とか仕事のこととかとても心配してます。(中略)一番ばあちゃんが心配です。俺は本当に元気だからね〉

〈警察官の人達もみんないい人でみんなとてもやさしかった。俺の取調官の人は、とてもいい人やったよ。俺を笑わせたりもしてくれた。取調中の合間にいろんな雑談もしてくれた。いい人達やった〉

 奥本は、一体どれほど惨めな仕打ちを受けてきたのか。この文章から読み取れる他人思いの男が、どうして家族を殺したのか。私は事件が起きた宮崎市に行くことにした。

写真はイメージです ©iStock.com

同情される殺人犯

 2021年12月21日午後、ブーゲンビリア空港の愛称を持つ宮崎空港に到着すると、周辺には椰子の木が何本も連なっているのが見えた。私が拠点にするスペインで言うならば、温暖なマジョルカ島の空港に似た空気と景色だった。

 近くでレンタカーを借りた。宮崎、大分、福岡3県の都市部から農村地帯に至るまで、くまなく巡ることになる。車なくしては、今回の取材も難しそうだった。

 宮崎駅前のホテルにチェックインすると、私はすぐに事件が起きた市内の花ケ島町に車を走らせた。この手の取材は、日が暮れる前に行なわなくてはならない。暗闇の中、玄関前に立つ人間を信用する者はそういないだろう。しかも唐突に11年前の殺人事件について尋ねれば、不審者扱いされるだけである。