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 と、まあこのように乗り換えだけを考えればシンプルでわかりやすい新大阪駅。しかし、ここだけでもずいぶんなトラップが仕掛けられている。新幹線が高架の4階にあるのはまあいいとして、在来線が地上1階、地下鉄が地上3階というのがだいいちに新大阪駅を複雑にしている要素である。

“ややこしくしている犯人”は大阪の大動脈「新御堂筋」

 そしてさらに、新大阪のターミナルを構成しているのはこれらだけではない。ひとつに、新御堂筋という大阪の道路交通における大動脈がある。

 新御堂筋は大阪駅の南、北新地付近の梅新南交差点で御堂筋と分かれて北進し、淀川を渡って新大阪、江坂などを経て千里ニュータウン方面へと伸びている。

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 地下鉄御堂筋線はちょうどその新御堂筋に沿って(正確には地下・地上・高架を組み合わせて同じ場所)をゆく。新大阪駅においては、新御堂筋と地下鉄御堂筋線は同じレベル、すなわち地上3階レベルに位置している。

 この新御堂筋が、新大阪をややこしくしている犯人といっていい。新大阪は新御堂筋にとってもひとつのジャンクションのような位置づけで、駅前のタクシープールなどに向かう二車線の進入路、さらに駅前をスルーして駅の北側の道路につながる進入路も設けられている。結局、それによって新大阪駅前の道路は幾重にも輻輳した形状を余儀なくされているのだ。

 

貨物線でさらに複雑に…

 とはいえ、これで終われば「新御堂筋も通っているから新大阪って便利だよね」で済む。新大阪駅は交通上の要衝、ターミナルとしての利便性が何よりも優先されるわけだから、大阪市内を貫く地下鉄や道路と結ばれているのはただただ便利ということになる。

 ところが、新大阪駅の複雑性はまだまだ続く。Googleマップなどで新大阪の地図を見る限りでは、線路は新幹線が東西に、JRの在来線と地下鉄御堂筋線が南北に通っているだけだ。だが、実際には新大阪駅周辺には他にも線路が敷かれている。新幹線に並行して地上を走って東西を結ぶ、北方貨物線だ。

 

 いささかマニアックなきらいもあるが、この北方貨物線は新幹線の高架下に車両基地まで抱えている大規模なもので、さらには新大阪駅を経ずにその車両基地から大阪方面に向かえるような線路も設けられている。航空写真ならば一目瞭然、新大阪駅前の広場は、新幹線以前にJRの在来線(東海道線)と北方貨物線に囲まれた、デルタ地帯になっているのだ。

 北方貨物線はいわば在来線の一部のようなものだから、もちろん地上を走っている。つまり、新大阪駅周辺を歩こうとすると、地上の在来線に何度も阻まれることになり、さらに高架の新御堂筋とそもそもの新大阪駅舎が圧迫感を持ってそびえたつ。どこをどう歩いても何らかの障害物が行く手を阻み、歩道橋などを登って降りてを繰り返すことを強いられるのだ。