TikTokで中国批判をしたら個人情報が中国当局に流れる?
さらには、昨今問題となっているTikTokについての懸念が、かなり現実のものとなっています。先日、中国バイトダンス社が、運営しているTikTokを通じてアメリカ人ジャーナリストの個人情報を不正取得していたことが明るみに出て、完全にTikTok名指しで公的機関からの排除を求める法案の審議が進んでいます。
これらは中国系企業の在米サービスや政府系調達に対して取引をBANできる仕組みをもっているアメリカならではの面もあります。他方で、日本でもこれだけTikTokが普及している現在、例えば彼らが表示したくない中国国内の諸問題に関する動画が上位表示されなかったり、そういう動画を掲示したアカウントをBANしたり、場合によっては投稿者を当局が法的根拠なく特定しようとしたときに協力したりすることは、社会的な問題になります。
電気通信事業法はどうなるのかという問題もある一方、もっと根源的な問題として、通信の秘密や表現の自由のような憲法で認められている権利に加えて、分析によって不利な判断をされない利益という観点からも「進展するネットとプラットフォーム事業者と憲法」の枠組みは変容していかざるを得ません。
中国人が中国国内においてTikTokでの表現で問題視され罰せられるのはギリギリ理解できますが、日本やアメリカにいる人物が中国批判をTikTokに掲載したら当局に個人情報が流れて中国当局に特定されてしまうとか論外だと思うんですよね。
また、SNSだけでなくゲームやアニメなどの映像表現もそうですが、中国市場は開放されておらず日本製アプリや映像作品は自由に流通させられないのに、日本市場はドーンと開放されていて、中華資本が日本市場を蚕食し放題の現状は不均衡の極みです。10年以上文句言ってますが、政府はクールジャパンがどうとか言いながらまったく対処してくれないのでどうするねんというのはあります。何でこんな不利な状態のまま政府が放置しているのか理解に苦しみますが、安全保障と地続きの問題として、これらのネット関連政策は統制していって欲しいと願っています。
どの国の企業にも処罰、制限は公平に
それもこれも、すべては憲法の下で平等であるはずの日本人が、プラットフォーム事業者のアルゴリズムという対外的には分からない不透明なものに阻まれて、統計処理における不利を国民が知らないうちに甘受させられている問題に帰結します。
極端な例で言えば、私ら左利きは統計的に早死になのは分かっているからと言って、生命保険では左利きを勝手に保険料上げるよとなれば、人権問題に発展します。左利き差別ですから。しかし、それと似たようなことがネットではかなり横行していて、これらの透明性をどう確保するのかは公正取引委員会や総務省など関係省庁の優先課題にならざるを得ません。ここでの透明性が確保されないのであれば、これらを放置することは違憲状態であって、日本企業でも韓国企業でもアメリカ企業でも中国企業でも公平に処罰されたり、名指しで国内での商行為が制限されるべきものだろうと思います。
少なくとも、事実関係に関してはアメリカ当局からも情報提供してもらったうえで、TikTokを運営しているバイトダンスを呼び出して事実確認のうえ、必要に応じてきちんと名指しで排除も検討しないと駄目なんじゃないでしょうか。
政策議論して盛り上がって、別れ際に議員さんから「山本さん、個別に連絡を取りたいのでLINE教えてください」と訊かれたときのガックリ加減を、皆さんには是非共感して欲しいと願っています。