高校の文化祭で「千尋がいる!」と追いかけ回されて…
――周りの反応とは?
柊 映画の公開当時、高校生だった姉の学校の文化祭に行ったら、そこの生徒たちに「千尋がいる!」って追いかけ回されて。「『ここで働かせてください!』と言ってみて」とお願いされたので、そのとおりにセリフを言ったら「ぎゃー!!」と歓声が起こったりしました。
その文化祭では、逃げては捕まり、また逃げては別の人に捕まるって感じでしたね。
――柊さんが千尋役だとみんな知っていたのですね。
柊 映画はもちろん声だけですけど、番宣では顔も出していたから「見たことがある」という人が多かったのかもしれません。
あとは、姉の通っていた高校は地元に近いところだったので、「千尋役の子、このあたりに住んでいるらしいよ」と噂も広まっていたみたい。地元ではすぐにそういう噂が広がるじゃないですか。
――文化祭のようなことはよくあったのですか?
柊 映画が公開されてから数年が経って、私が高校生になってからもありましたね。同じ部活の同級生から電話がかかってきたと思ったら、「ちょっと友達に代わる」と言われて。全然知らない人が電話に出て、「千尋の声やって!」と言われたこともあります。
そのときはしょうがないから、「ハク」とだけ言いました。そしたら電話越しに「うぇーい!!」って騒いでいる声が聞こえてきて。「どなたかわからないし、もう切りますね」と言ってそっと電話を切りました。
いつまで経っても「千尋役の子だね!」と言われるのにモヤモヤ
――そういう周りの反応に対して、当時はどのように感じていたのでしょうか。
柊 映画公開当時はもちろん、数年経ったあとも話題にしてくれるのは嬉しいです。こんなに長く語り継がれる作品に関われて良かったなって。追っかけられたり、知らない人から電話がかかってきたりするのはさすがに困りましたけどね(笑)。
ただ、いつまで経っても「千尋役の子だね!」と言われるのにモヤモヤしたこともありました。
学生時代の日記を見返すと、「いろんな仕事をしているのに“千尋”ばっかり」と書いている時期もあって。自分の中ではもうとっくに千尋を演じ終わっているし、新しい役だってどんどんチャレンジしているのに、「千尋」のイメージからなかなか抜け出せず……。「私には千尋以外にもあるんですよ」と言いたかった。
――そのモヤモヤはどうやって解消したのですか?