不動産投資、暗号資産、オンラインサロンなど、自らの才覚で巨万の富を手にする人々が続出し、日本の富裕層は近年大きく変化した。なぜ彼ら彼女らは、一代で巨万の富を築くことができたのだろうか。

 ここでは、日本と海外の投資・経済や海外への移住事情などを知り尽くした大森健史氏の著書『日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか』(朝日新聞出版)より一部を抜粋してお届けする。(全2回の2回目/1回目から続く)

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富裕層と一般人の思考の「壁」とは?

 シン富裕層の考え方や行動には、凡人にはなかなか真似できないことがあるということをここまでお伝えしてきたわけですが、彼らも最初から「投資視点」を持っていたわけではありません。成功体験が必要というお話もさせていただきました。ここで改めてお伝えしたいのは、一度「投資」という視点で客観的にものごとを見れるようになると、すべてが違って見えてくるということです。

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 昔のいわゆる「成金」がリッチになって手に入れたいものというと、車や家がわかりやすいと思います。高級車に乗って、豪邸に住む。しかし、これはゴールであって投資の対象としてみていません。一般の方々はさらにその傾向が強いかもしれません。ようやく手に入れたそれらを「売却する」、つまり出口をあまり考えていません。

繁華街は「住居」のイメージがなかったが…

 とくに「自宅」の購入であれば、たいへん大きな買い物ですし、終の住処として考え、選択するのではないでしょうか。そして、自分の収入で手の届く、住みやすく、将来子どもができたら育てやすく、できれば職場から近く、そして閑静な……といったことを考えることでしょう。そのとき、まさか六本木だの、表参道だの、新宿といった繁華街は考えないものです。しかし、前述の通り、投資という意味で価値があるのは、都内のど真ん中です。

 そもそもそうした繁華街は「住居」のイメージがなく、はじめから検討対象に入っていません。私の知り合いの話ですが、彼は郊外の家をリフォームする必要があって、一時的に会社から近い六本木にウイークリーマンションを借りて仮住まいしていたそうです。はじめはそれこそ「仕事や遊びにくるところであって、住むところじゃない」と思っていたそうです。