不動産投資、暗号資産、オンラインサロンなど、自らの才覚で巨万の富を手にする人々が続出し、日本の富裕層は近年大きく変化した。なぜ彼ら彼女らは、一代で巨万の富を築くことができたのだろうか。
ここでは、日本と海外の投資・経済や海外への移住事情などを知り尽くした大森健史氏の著書『日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか』(朝日新聞出版)より一部を抜粋してお届けする。(全2回の1回目/2回目に続く)
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人の本質を見抜くためには「学歴」と「職歴」、最後はジアタマ!?
ベンチャービジネスで起業する、資産ができたので資産管理会社を起こす、投資先を決める、いずれの場合でもシン富裕層となる人は個人でなにかを判断しなければならないことが多い。そのうえで厄介なのは「人」だと言えます。
事業を起こす人も多いですが、個人からはじめて、少人数でも生産性の高い事業を次々とスタートアップさせる方も多いようです。少なくともシン富裕層の人が経営する会社は規模的には中小というか数人の企業も珍しくありません。会社員経験がほぼない人もいれば、長く会社員だった人もいます。いずれにしても人を自分の責任で雇用するという経験はほとんどの人が持っていません。
少数精鋭ですから、人材雇用の成否はとてもシビアです。また、スタートアップ企業はどうしても待遇や認知度が低いという弱点があり、見るからに優秀な人物を雇用することは大変難しい。
そこで一代で運送会社を築いたオーナー社長が言っていたことは「ジアタマ」を見極めるということ。ジアタマって数値化されていませんので見極めはとても難しいですよね? SPIとかをやるんですか?と私は率直にそう聞き返したら、笑いながら答えを教えてくれました。
一般的には面接とは会話を通じて見極めようとしますが、面接慣れして口だけが上手い人も多い。私の経験ですが、採用面接をやると頻繁に過去に勤めた会社で社長賞を取ったり、営業成績がトップだったりする方に出会います。