そんな井上氏がインタビューに答えているのだが、まず安倍氏が統一教会と近かったと報道されることに憤っていた。《別の勢力によるテロの可能性だって十分にあり得るはずです》とも言っている。事件後に何が問題となり注目されているのかわかっていない様子なのだ。
山上被告に対しては《私は大根1本で1週間暮らしてきた経験があります。40歳にもなって、親の財産のことで苦しむなんて、甘ったれるなと思います》。教団から厚い支持を受けていた井上氏が言っている。違和感しかない。さらに言えば安倍元首相に世話になった人が事件の解明から目を背けているのも違和感がある。インタビューはいろいろ浮かび上がらせてくれた。
「萩生田」「井上」に覚えた既視感の正体は…
萩生田氏も井上氏も、なぜ何もなかったかのような振る舞いができるのだろう。そういえば「萩生田」「井上」という名前のこの並びには既視感がある。どこかで見たような……。
そうだ、加計学園問題である。あの問題の渦中、萩生田氏はかつて落選中に加計学園が運営する千葉科学大の客員教授として報酬を得ていたことも注目された。実はそれは井上義行氏も同じだった。
「井上さんも萩生田さんも、安倍枠で千葉科学大に入ったはずです。安倍さん自身が『萩生田は浪人(落選)して金が大変なので、加計に面倒見てもらうよう俺が頼んだんだ』と言っていました」と千葉科学大学の元教員が証言していた(『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』森功 著、文藝春秋)。
言いなおせば、
「井上にしろ、萩生田にしろ、千葉科学大危機管理学部の客員教授として報酬を得てきたのは紛れもない事実だ。つまり安倍が用意した側近たちへの救いの手が、盟友の経営する大学の客員教授ポストだったということだろう」(同書より)
ここでいう盟友とは加計孝太郎氏のことである。加計学園問題でも旧統一教会問題でも共通して出てくる「萩生田」「井上」という名前。うっかり感心してしまうが、萩生田氏と井上氏は何もなかったかのように加計学園問題でも旧統一教会問題でも振る舞う。「危機管理学部の客員教授」で教えていたことってそういうこと? 一度講義を受けてみたかった。