「M-1グランプリ2021」優勝の陰にはタカアンドトシのアドバイスがあったという。“大逆転”でつかんだ栄光の瞬間を、今振り返る。

51歳の長谷川雅紀(左)と44歳の渡辺隆(右)撮影 山元茂樹/文藝春秋

◆◆◆

優勝の年、「さすがに今年は厳しいんじゃないか」と思ったワケ

――優勝した年のことを振り返って欲しいのですが、2021年は、前年にM-1決勝に初出場したお陰で仕事が急増し、ほとんどライブに出る時間がなかったそうですが。

ADVERTISEMENT

長谷川 初出場する前は、毎月20本程度、多い月だと30本ぐらいライブに出ていたんです。小さなライブですけど。そこで新ネタを試したり、過去ネタを磨いたりできた。でも、2021年はほとんど出られなくなってしまった。人前で漫才をしたのは月1回ぐらいじゃないかな。それも地方での営業とかで。なので、夏が来て、M-1のエントリー時期が近づいてきたときは、さすがに今年は厳しいんじゃないかってその時は思っていました。

撮影 山元茂樹/文藝春秋

――それに加えて、M-1などの賞レースは結局、初出場がもっとも有利じゃないですか。一度切りのそのカードをすでに使ってしまい、頂点までのルートは、さらに困難になるわけですよね。

渡辺 そこは考えませんでした。決勝に選んでいただけるのなら、やるだけだ、ぐらいの感じだったので。有利とか不利とか、そこまで計算してはやってないです。

長谷川 僕もそこはぜんぜん考えてませんでしたね。前回を超えなきゃ、とかは。ただ、無心でやっていました。考えたって仕方がないしな、って。

「いっつも適切なタイミングでリアクションがとれないんです」