文春オンライン

「若いころはカッコつけたり、いいように見られたいと思ってスベっていた」…錦鯉が史上最年長でM-1を制するために必要だった“遠回り”

2023/01/18

source : 週刊文春

genre : エンタメ, 芸能

 長い雌伏の時を経て売れっ子芸人の仲間入りを果たした錦鯉。若いころになぜ二人は出会わなかったのか、なぜ日の目を見るのに時間がかかったのか。そして再び「M-1」の舞台に立つ日は来るのか。

長谷川雅紀(左)と渡辺隆(右)彼らを描いた『笑い神 M-1、その純情と狂気』が好評発売中。撮影 山元茂樹/文藝春秋

◆◆◆

「続けることって、そんなキレイなものじゃないぞ」

――今、この世界では、芸歴が長いにもかかわらず芽が出ていない芸人に対して「錦鯉のようなこともあるから」というような言い方が定番のようになっている気がするのですが。そうした風潮に対しては、どう思われますか。

ADVERTISEMENT

渡辺 僕らみたいなおっさんを励みにしているような芸人は、すぐやめますよ。本当に信念を持っている芸人は、僕らのことなんて見てないですもん。

撮影 山元茂樹/文藝春秋

――2人の場合はどうだったのですか? なかなか日の目を見てない中、芸人を続けてきた理由を「ただ、芸人のやめどきを失っただけ」とたびたび口にしていますけれども。それは見方を変えれば、続ける才能があった、とも言えるわけですよね。

渡辺 キレイに言うか、汚く言うかだけの差じゃないですか。いずれにせよ、続けることって、そんなキレイなものじゃないぞ、って気はします。

長谷川 やめられる人の方がすごいんじゃない? 僕は隆と組む前、もう40歳になっていたので、芸人を辞めようと思っていたんです。そんなときに隆が「組みませんか?」って声をかけてくれて。普通、そういうときって、未来のことを熱く語り合いそうなものじゃないですか。「M-1」獲ろうぜ、とか。でも、そんな話は一切、しなかった。「いいね、やろうか」ってなった後は、2人で好きなドラマの『北の国から』の話で朝まで盛り上がっていましたから。新宿の居酒屋で。

渡辺 思い出横丁だったかな。僕は芸人っていう肩書きを持っていられるのが楽しかったので。延命するために組んだ、みたいなのは少しありました。

関連記事