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「若いころはカッコつけたり、いいように見られたいと思ってスベっていた」…錦鯉が史上最年長でM-1を制するために必要だった“遠回り”

2023/01/18

source : 週刊文春

genre : エンタメ, 芸能

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若いころ、2人が組んでいたらどんな雰囲気になっていたのか?

――もっと若いときに組んでいたら、また、違った雰囲気になっていたんですかね。

渡辺 僕は20代のときだったら、雅紀さんと組んでないでしょうね。おもしろいとは思ったかもしれないけど、やりたいことは違うだろうな、と。雅紀さんを活かす自信もないし。

――2人はM-1決勝に初出場するまで、毎日のように若手と一緒にライブに出ていたんですよね? 誰かが言っていたのですが、普通、あの歳になったらあんなことできませんよ、と。若手の前でスベりたくないとか、普通は、そういう意識が働くものだ、と。それを聞いて、錦鯉が史上最年長でM-1を制した理由が少しだけわかった気がしました。

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渡辺 いい意味で、後輩だとは思っていなかったので。同期ぐらいのノリでしたから。受け入れてくれた若手に感謝です。若手の中におっさんが混じっていたから、おもしろがってくれていたんでしょう。

撮影 山元茂樹/文藝春秋

長谷川 いちばんわかりやすい売れ方じゃないですか。ライブに出てM-1を目指す、って。でも、僕らぐらいの芸歴の人に、ライブとかにもっと出たらって勧めると、だいたい「いいわ」って言います。今の時代、世に出る方法はいくらでもあるじゃないですか。YouTubeとかSNSとか。わかりやすいけど、正攻法には正攻法の苦しさとか大変さはありますから。ただ、自分たちの場合、ネタにはしていましたけど、年齢のことをそんな気にしてなかったというのも実際あります。

渡辺 まあ、規格外の人と組んでいますから。年齢なんて関係ないので。

どう転んでもいいや、いつ死んでもいいやと思っています

――2人を見ていると、普通の大人は年齢とともに見栄だとかプライドだとかを身につけてしまうものなのに、いい意味で、そういったものを捨てることができたんだろうなという気がするのですが。だから、年齢というハンディも克服できたのかな、と。

渡辺 それもあったかもしれないですけど、昔から、人生を軽く捨てて生きてきたようなところがあったんです。どう転んでもいいや、って。いつ死んでもいいや、って。

撮影 山元茂樹/文藝春秋

――それは今もですか?

渡辺 今も変わらないです。そうなったら、歳のこともそうだし、見栄もプライドもないじゃないですか。

長谷川 それは僕もちょっと近いかもしれません。これまでの人生で、自分がいちばん力を発揮できたときって、どういうときかなって考えると、どうでもいいや、って思ったときなんです。

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