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 中国が背後で支援している以上、経済制裁になんの意味があるのかという見方もありますが、経済制裁は象徴性に意味があります。国連の経済制裁は発展への抑制です。北朝鮮が核をあきらめない限り絶対に経済制裁は解除しない、核を持っている限り、国家としての発展は永遠に望めませんよというメッセージを送り続けなければなりません」

李外相の処刑は事実か?

――北朝鮮の核を巡り、韓国でも核を保有するべきだとする声が出始めています。

「北朝鮮が中国やインド、パキスタンのようになることを目指し、核を保有すれば米国が朝鮮半島から去ると信じている以上、韓国も直接的な抑止力を持つべきだと私は考えます」

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――北朝鮮国内にも大きな変化が見られました。年明けに、2019年のハノイでの米朝首脳会談で交渉に当たった李容浩元外相が粛清され、処刑されたというニュースが読売新聞(1月4日)から報じられました。そこには、駐英北朝鮮大使館の外交官も処刑されたとありましたが、李元外相は処刑されたのでしょうか?

「粛清は明らかですが、処刑については事実確認ができていないので分かりません。ただ、そこまでするだろうかというのが率直な見方です」

――李元外相の粛清の理由は? 2019年ハノイの米朝首脳会談中、スペインの北朝鮮大使館からは機密情報が盗まれるという事件も起きましたが。

「2019年の状況を見ると、ハノイでの米朝首脳会談が決裂に終わった後、処刑されたり、地方に飛ばされるなど外交の舞台から消えた人たちがいます。

 そもそも最高指導者が海外に行くのに、平壌からハノイまでの道のりについての情報が筒抜けでした。ハノイでは、金正恩が宿泊しているホテルに記者が押しかけたので、北朝鮮はベトナム政府に対応を依頼しましたがとりあってくれなかった。そこで、北朝鮮の外務省は、こともあろうに交渉相手の米国に助けを求めて記者を閉め出したといいます。

 それでも交渉がうまく運べば問責されなかったかもしれませんが、次から次へと失態が明るみにでてしまった」

崔外相は「人脈で勝負するタイプ」

――李元外相がハノイの米朝首脳会談の翌年に解任され、新しい外相へと交代した後、昨年6月には李元外相とハノイで一緒だった崔善姫氏が外相となりました。太議員と崔外相は、中学・高校時代、そして中国留学も共にした同級生であり、外務省での同僚でもありましたが、崔外相はどんな人物なのでしょぅ?