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神社にあった「100キロ超えの石」が急に移動して近隣住民パニック→新聞沙汰に…“石を動かした青年”を取材してわかった「予想外の動機」とは

令和の怪力男・そばつぶとは何者か #1

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そばつぶ はい。ちゃんとした保存場所を改めて作るという事で、それまでは自分が指定の仮置場にまた少し移動させました。地元のおばあちゃんたちが見物に来て、「本当に持ち上げてる!」と喜んでくれました(笑)。

担げない力石は、死んだも同然

――そばつぶさんは、どうやって力石を知ったんですか?

そばつぶ 自分はもともと筋トレが好きで、よくトレーニング動画などを見ていたんですが、その関連動画に力石が出てきたんですよ。人間が大きな石を持ち上げる姿を見て、「なんだかおもしろそうだな」とピンときました。自分でも力石をやるようになって1年半くらいです。

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重い石を持ち上げるそばつぶさん (写真:そばつぶさんのTwitterより)

――「自分も力石をやろう!」と思い立って、まず何をするものなんでしょうか? 力石に関する情報はネット上で見つかるものなんでしょうか?

そばつぶ 各地の愛好家によって“力石クラスタ”みたいなものもありますし、「地名+力石」でググると多少は情報が出てきます。都会の力石だとそこそこ出てくるのですが、地方の力石の情報は少ないです。そんな中、力石のお祭りが現在でも開催されている事を知りました!

――力石のお祭り?

そばつぶ はい。みんなで石を担いで力比べするお祭りを開催している神社などもあります。もう少し前は全国にそこそこあったのですが、今ではその数も少なくなっています。幸いにも自分の住む石川県には小松市に2件、隣の富山県入善町にも1件あり、2022年に参加させて頂きました!

――ではインターネットを駆使して情報収集を……。

そばつぶ ネットだけだと不充分なので高島愼助先生の著書を頼りにしています。この方は力石の調査研究の第一人者で、『石川の力石』や『富山の力石』など全国の力石に関する著書を多数出版されています。ネットで出てくるものよりも何十倍も充実したリストが載っていて助かります!

小松市立博物館発行の『バンモチ石調査報告書』(左)、力石界の賢者・高島愼助先生の『石川の力石』(右)

――時には歴史資料をチェックしたりして、力石とはただ石を担ぐだけではないジャンルなんですね。

そばつぶ まぁでも結局は「大きな石を担ぎたい」、それが1番です。でもいろいろ調べたところで、実際に現地に行ってみると“死んだ力石”だった……というケースもあるんですよね。

――死んだ力石?