中日ドラゴンズが、球団史上初となる長編ドキュメンタリー「Truth of Dragons 2022」を公開した(1月29日までPIA LIVE STREAMで有料配信中)。ディレクターを務めたのは、ドラゴンズファンならおなじみ公式YouTubeチャンネルを登録数20万人まで育てあげた事業本部イベント推進部の岡田昌尚さん(文春野球にもコラム執筆者として参戦済)。
立浪和義新監督を迎えたものの最下位に沈んだ2022年。それでも来季に向けてチームは変わりつつある。岡林勇希選手、石川昂弥選手、根尾昂投手、髙橋宏斗投手、小笠原慎之介投手という5人の若手選手にフォーカスし、彼らの“苦悩”と“成長”を描く。
選手の素顔をファンに届け続ける岡田さんが、どのような思いでこの作品を作り上げたのか。裏話も含めてじっくり聞いた。
球団に入ったときからドキュメンタリーを作りたかった
――普段のYouTubeとは違って、今回は121分の大作ですね。
岡田 本当は90分ぐらいの予定でしたが、気持ち良くつないだら2時間になっていました(笑)。見てもらいたいと思った映像やインタビューは、なるべくカットしないで使っています。たとえば、小笠原さんが悩みながら言葉を選ぶ場面は、テレビではカットするでしょう。でも、そこに何かがあると思うんです。
――横浜DeNAベイスターズや侍JAPANが公式ドキュメンタリーを制作していますが、触発された部分はありましたか。
岡田 どちらも必ず映画館に足を運んで観ていました。もし自分がどこかの球団に入って同じ立場になったら、どんなものが作れるんだろう? と思いながら観ていましたね。
――岡田さんの中では「Truth of Dragons 2022」は“映画”なんですね。
岡田 はい。ドラゴンズに入ったときから、ドキュメンタリー映画を作りたいと思っていました。今年は「ぴあ」さんのお力を借りて配信という形になりましたが、ゆくゆくは映画館で上映できるようにしたいと思っています。そのための一歩は踏み出せたのかな、と。
――2022年のドラゴンズは最下位に終わりましたが、このタイミングでドキュメンタリーを作ろうと思ったのはなぜでしょう。
岡田 僕が入社して1年経って慣れたこともありますが、やっぱり立浪監督の1年目というのが大きかったですね。春季キャンプの段階では何かしらの形で1年をまとめておきたいと考えていました。立浪監督が沖縄入りしたときの車中インタビューも、この作品のために撮ったものです。
最下位とはいえ、いろいろなことが起こったシーズンなので、素材を撮りだめしておいて、優勝したときやAクラスに入ったときに作ればいいとは思いませんでした。選手たちの成長は今しかありません。岡林選手の成長も、2022年の岡林選手を記録しておかないと不自然になってしまうし、根尾選手の決断も決断した年を記録しておいたほうがいい。石川昂選手が復帰するまでの道のりを、このボリュームで観てもらえるのは今しかないんですよね。
――最下位だからこそドキュメンタリーを作ることに意味があるのではと思っていました。喜びと苦しみを経験した選手たちが、来季どんなドラマを見せてくれるのか、より楽しみになりましたから。
岡田 この1年の姿を見た上で来季以降、選手たちが活躍している姿を見たら、また応援していただけるんじゃないかと思って作っていました。今年はトータル的に見て、この5人が中心の構成になりましたが、来年は梅津投手や鵜飼選手が中心になる可能性もあると思います。