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国葬には賛成だ

 ただ、安倍さんは、優しい一面もあった。今でも忘れられないのは、僕の父が末期のすい臓がんで入院していた時のことだ。父の病室に付きっ切りでいた際、ちょうど安倍さんも健康診断で同じ病院に来ていたという。

 彼は検査着姿のまま父の病室に来て、お見舞いの言葉をかけてくれた。その気遣いには本当に驚いたし、有難いと感じたものだった。検査着を着た総理大臣に会うようなことは、後にも先にもそれが最後だろう。

 そんな気さくな一面や気遣いができるからこそ、あれだけの派閥を率いることができたのだろう。第2次政権を持病の悪化で退陣した後も、食事をする機会があった。お酒はほとんど飲んでいなかったけれど、その頃にはもうすっかり体は元気になっていて、日米関係の行方についてお話し頂いたり、「習近平はこんな人だよ」と教えてくれたり、安倍さんらしい楽しい宴席だったことを覚えている。

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 だから、2022年7月8日に亡くなられたことは、あまりに突然で衝撃的なお別れだったというほかない。出張先の米国から帰国し、次の日の7月10日の夕方、安倍さんのご自宅に弔問にうかがった。本当に優しい表情で眠っておられた。

 残念なことに、安倍さんの国葬を巡っては分断が生まれるような状況が生まれていた。もちろん、色んな意見があるのは理解できる。ただ、確実に言えるのは、安倍さんが歴代最長の政権を築き、外交的にプレゼンスを大きく高めたことだ。これだけ長く一国のリーダーを務めた方には、主義主張の違いを越えて敬意を払ってもいいのではないか。僕個人としては、国葬を行ったことに賛成だ。

 けれど、今こそ議論すべきは、安倍さんの推し進めてきた政策をどのように発展させていくか、イノベーションをドライブさせていく国づくりを構築していくか、ではないだろうか。日本の成長のために粉骨砕身してきた安倍さんも、そのことを天国で願っておられると思う。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。