2020年7月、56歳で初めて父になった夕刊フジ編集長の中本裕己さん(59)。そんな中本さんが、当時45歳の妻が“超高齢出産”を果たすまでの苦難の道のりや、シニア子育てのリアルを綴った著書『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました 生死をさまよった出産とシニア子育て奮闘記』(ワニ・プラス)を上梓し、話題を呼んでいる。
ここでは、同書より一部を抜粋。残された時間がない、将来のお金がない、若い頃の体力がない「3ない」子育てに対する率直な心境を紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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小さな怪獣と格闘する日々
わが家に赤ちゃんがやって来た。
これまで病院でお世話になっていたこと、赤ちゃんの衣食住を、初日からすべてやらなくてはいけない。
56歳で育児を始めることになるとは思わなかった。
60歳で4歳、63歳で小学校に入学し、卒業する頃は69歳か。「70歳までの継続雇用制度」が我が社でも採り入れられていれば、給料は激減していたとしても仕事はあるかもしれない。せめて、息子が大学に入るまでは……などと考え出すとゲンナリするので、ええい、これは人生を走りながら考えるしかあるまい。
とにかく育児は体力勝負である。
これから小さな怪獣と格闘する日々が始まるのだ。
想像をはるかに超えた「+1」の存在感
産まれてすぐは1203グラムだった体重は、2800グラムまで増え、無事に東大を卒業(病院)した我が子は、生後3カ月でやっと家族の一員になった。
家族が2人から3人になった。24時間ともにいる「+1」の存在感は、たまに面会で顔を合わすときとは違って、想像をはるかに超えていた。ここからは、それを「56歳差」の視点で書いていきたい。