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「社長の見た目はブラックだけど会社はホワイト」実の父親に虐待され、母に対しては暴行…女性(18)がたどり着いた“異端”のソープランドのビル管理会社とは

「社長の見た目はブラックだけど会社はホワイト」実の父親に虐待され、母に対しては暴行…女性(18)がたどり着いた“異端”のソープランドのビル管理会社とは

genre : ライフ, 社会

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 規則正しい生活、振り込め詐欺で荒稼ぎしていた時期と比べると3分の1になった収入……。藤沢さんは何度も会社を辞めて詐欺で大金を稼ぐ生活に戻ることを考えたという。

「最初は社長のことも全く信じてませんでした。『俺みたいな人間に良くしてくれるのは後で何かとんでもないことをやらされるんじゃないか』みたいな(笑)。でもだんだん、自分の事は後回しにして、社長が本気で俺たちを更生させようとしてるのが伝わってきたんです。自分が大人になってきたということもありますが、悪いことして金を稼ぐのがくだらなく感じるようになりました。

 詐欺をしていた頃は、いつ逮捕されてもおかしくないという恐怖が常にあって、安心できる瞬間が全然なかった。悪いことをして人よりちょっと多く稼いでも全然割にあわないんですよ。大麻を売ってもメイウェザーみたいな稼ぎ方ができるわけではないですからね」

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中溝観光が所有するビル

「元受刑者の人が就職したって聞くと嬉しい」

 清掃や保守点検などビル管理の現場でしばらく働いていたが、「若いので広い視野を持たせたい」という中溝社長の考えで秘書に抜擢され、受刑者の出所後の就職を支援する求人誌の編集をメインに社長の会合などにも多く同行することになった。

「自分がスーツを着る仕事をするなんて思ってもいませんでした。自分が作った求人ページがきっかけで俺と同じような元受刑者の人が就職したって聞くと本当に嬉しい気持ちになります。ゆくゆくは自分でも会社を設立して社長みたいに商売できるようになりたいんです。世の中でゴミとして捨てられているけど価値があるものもたくさんあるのを知っていますか? そういうものを再利用するような仕事がやってみたいんです。だから休日は結構勉強してるんですよ」

元受刑者の就職を支援する求人誌

 そう言うと、藤沢さんは照れくさそうに笑った。

 次に話を聞いたのは10代の吉村愛華さん(仮名)。明るい金色に髪を染め、高校に通っていれば3年生だという。いまは中溝観光開発の正社員だ。

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