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「ロケ場所の下調べやレシピ提供までしたのに…」プロ野草愛好家として活躍する彼女の人生を変えた「TV局のありえない仕打ち」

多摩川野草会代表・のんさんインタビュー #2

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のん 「のんちゃん大丈夫!?」と夫が慌てて私のほうに駆け寄ると、寝てる……みたいな(笑)。会社勤めをしながら年間50回ほど観察会をやっていくうちに、はじめはウサギの餌のためにやっていたのに、何が目的なのか自分でもよくわからなくなってしまいました。

 会社員生活は16年。新卒で証券会社に入って8年、その次の電機メーカーで8年。生活や社会的信用のためには続けたほうがよかったんでしょう。

 でも結局、「自分の人生で楽しい時間を長く持とう」と思って退職しました。今は野草活動一本で暮らしています。とはいえ草が枯れて閑散期になる冬季だけは、塾講師の仕事もしています。

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TV番組にも出るはずだったのに…

――観察会では腕章をつけていましたが、こうした活動に資格は必要ですか?

宝探しをしているかのような観察会。ヨモギなど、食べられる草も豊富だ ©筆者撮影

のん この腕章は、日本自然保護協会の「自然観察指導員」であることを示すものです。登録制で、講習会を受ければ誰でも取れるものです。資格がなくても自然観察会などの活動はできますが、メディアの取材を受けると、資格をすごく求められるんですよね。私はどこにも所属しておらず、研究者でも専門家でもないし、著書もない。

 過去には、あるTV番組で野草の識者として出演するはずだったのに、いきなり別の人に差し替えられた経験もしました。ロケ場所の下調べや、野草の生えている場所の調査、レシピ提供までしたのに……。

 本当にめちゃくちゃ悔しかったですね。そんな苦い経験をしたこともあり、何か資格を取らねばと思って、自然観察指導員の資格を取ったわけです。

――野草活動や観察会以外だと、ほかにどんな仕事を?