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木崎 先ほどの「監督としてW杯で優勝する」というのが1つ。もう1つは「フォーブスの長者番付で1位になること」です。

――長者番付1位……。確か1位は総資産35兆円くらいだったと記憶しています。

木崎 同じ投資家で言うと、ウォーレン・バフェット氏を超える必要がありますから、そうとう高いハードルですよね。ただ、本人はいたって真剣でこの前もインドネシアに行って新しい投資先を探していましたし、様々な場所にいって色んな人に会っています。投資家になりたての頃は「騙されているんじゃないか」と心配になりましたが、上場する企業も出てきて結果を出しているのを見ると、自分で限界を作ってしまってはダメなんだなと痛感します。

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勝つことへの執念は誰よりも強い (本人のツイッターより)

なぜ本田圭佑は1番にこだわるのか

――サッカーでの世界1位に経済界での世界1位と、どうして本田選手はそこまで一番にこだわるのでしょうか。

木崎 お父さんの教育が大きく影響しているそうです。小さいころから負けるとプライドをくすぐられるようなことを言われていたとのことで、「2番はベッタ(ドベ)と一緒」と叩き込まれていたんだとか。

現在は指導者としてW杯優勝を目指している ©FFA

――大叔父の本田大三郎さんは東京五輪のカヌー選手で、その息子の本田多聞さんはプロのレスリング選手でしたから、スポーツに関しては厳しく育てられたのですね。

木崎 そうですね。小学校のときはたとえ先輩であっても「この選手のプレーがすごかった」と言っただけでも「情けない」とたしなめられたそうですよ。一度、プロの試合をお父さんが見に来た時もつまらないから途中で帰ってしまったこともあるそうです。きっと、一番になるという目標にこだわる根底には、父親に認められたいという心理があるんだと思います。

――ただ、そういった「W杯で優勝する」といった発言は “ビッグマウス”という言葉で「大口をたたくな」と批判の対象にもなりました。

木崎 確かに、身の丈に合わない目標を口にしますが、本田選手は実は口に出す前に物凄く考えるんです。一度決めたことは絶対にやり通すという覚悟を持ってから言葉にします。彼はそれを「決め」と呼んでいるのですが、中高生の頃から「決め」を作って自分を奮い立たせてきたというのです。昔はノートに書いていて、今では口に出して言うようになりました。それがメディアにとってはビッグマウスと映ってしまったのでしょう。

”ビッグマウス”がW敗戦時、批判の対象になった ©JMPA

 一度、彼が「決め」を作る瞬間に立ち会ったことがあるんです。あれはカンボジア代表の試合を終えて海外から帰ってきて一緒に2週間の隔離期間を過ごした時です。旅館で隔離生活を送っていたのですが、当然ながらあまり体を動かすことはできない。そこで本田選手が「決め」を作ったというんです。「2週間自分は白米を食べない」と。