青さんはいまに至るまで「人たらし」だ。中年になったいまでも、職場や取引先で年上の人たちから「〇〇ちゃん」とファーストネームで呼びかけられ、贔屓される。「基本的に人が好きなんです。それが若者だったころには、女ったらし、ということにもなってしまったわけです」。
小学生時代には恋愛経験がなかったが、5年生のときに友だちに教えられてオナニーを覚えた。「真似したらすごいことが起きた。ショックで死んでしまうんじゃないかなと思いました。それからは、いじりまくりでしたね。ふやけるまで触って」。
性的興奮はマンガやアニメのキャラクター
中学に入って、体育会系の部活動に打ちこんだ。プロ野球選手の父の素質を継いで、運動能力が高い。自閉スペクトラム症があると、発達性協調運動症(複数の部位を連動させる運動が難しい障害)を併発しやすく、運動音痴の人が多いが、それと対照的だ。私はまさに「運動音痴側」そのもので、「運動が得意な発達障害者」の話を聞くと、「反則だ!」と憤慨しそうになる。青さんは語る。「恋愛に走るのはグレてる人たち、ヤンキーたち、という年頃でしょう。僕はまじめに部活をやってましたね」。
でも性にはやはり飢えていて、先輩から裏ビデオを借りた。永作博美などを輩出したタレント育成講座の乙女塾にハマり、「BOMB!」とか「DUNK」などの男性向け芸能雑誌で性的なグラビアを見て興奮した。「11PM」や「おとなのえほん」といった「お色気番組」をVHSに録画して、こっそり鑑賞した。ダイヤに電話して、3万円ほど請求されて親に叱られた。私は思わず自分と比べてしまうのだった。私の場合は長らく芸能人に興味を持てず、思春期のころの性的興奮はマンガやアニメのキャラクターにしか向かわなかった。当時の典型的な「オタク」だ。年代の近い青さんと私の違いはどこから来るのか、よくわからない。
しかし青さんが「異常なくらいの量のズリネタを収集してましたね」と語るのを聞いて、やはりおおむね同じなのかなとも思う。自閉スペクトラム症があると、「こだわり」の特性から収集癖を発揮しやすいのだ。私はじつに、さまざまなものを集めてきた。その一部には性的なニュアンスのものもある。
人気者の自分と気持ち悪い自分が同居
青さんに「いわゆる『顔面偏差値』が高いですよね」と外見に関する話を振ると、 「生まれてからずっとこの顔だから、よくわからないところがあって。好きじゃなかったんですけど、周りの意見を聞いているとオレ、イケてるんだって気づきました」。