〈あらすじ〉

 1990年代のモスクワ。フィンランド人留学生のラウラ(セイディ・ハーラ)は、大学教授の恋人イリーナ(ディナーラ・ドルカーロワ)と、世界最北端駅ムルマンスクにあるペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く計画を立てていたが、直前にドタキャンされてしまう。

 モスクワ駅から一人寂しく寝台列車の六号客室に乗り込むと、向かいの席にいたのはロシア人炭鉱労働者のリョーハ(ユーリー・ボリソフ)だった。ラウラは彼の粗野な言動に最悪の印象を抱くが、列車での長旅を共にするうちに、2人は互いの不器用な優しさに気付いていく。

〈解説〉

『オリ・マキの人生で最も幸せな日』に続く、ユホ・クオスマネンの監督・脚本作。長距離列車で出会った男女が、心を通わせる様子を描くロードムービー。第74回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞。107分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆空回りのインテリ女と粗野な炭鉱労働者。異文化をめぐる話かと思いきや、様々な感興を誘う。マヌケなラストも好ましい。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆カウリスマキほど不敵ではないが、話の関節外しはかなりの腕。90年代北極圏のロードムービーという着眼点が技あり。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆不愛想で率直な女子大生の表情に魅せられた。労働しか知らないリョーハとの出会いで内面に生き生きと花が咲くよう。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆列車での旅の出会いが自己発見の契機となる。ボーイ・ミーツ・ガールという保守的な図式を大きく上書きした貴重な成果。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆ロキシー・ミュージックから始まる列車の旅。他者性、文化、国といった境界を越え受容する関係を甘くならずに見せる。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
©2021 - Sami_Kuokkanen, AAMU FILM COMPANY

INFORMATION

『コンパートメントNo.6』(フィンランド・露・エストニア・独)
2月10日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
https://comp6film.com/