〈あらすじ〉
ジョージアに暮らす元教師のリア(ムジア・アラブリ)は、行方不明になっている姪テクラを探す旅に出る。彼女を見つけ、連れ戻すことが、テクラの母である実姉と交わした最後の約束だったからだ。トランスジェンダー女性のテクラは、今はジョージアを離れ、トルコのイスタンブールで暮らしているらしい。その住所を知っているという青年アチ(ルーカス・カンカヴァ)を通訳兼ガイドとして伴って、リアは車で国境を越え、バス、フェリーを乗り継ぎ、イスタンブールへ。
そして、トルコで初めて設立されたトランスジェンダーの権利を守るためのNGO「ピンクライフ」で弁護士として働くトランス女性、エヴリム(デニズ・ドゥマンリ)の助けを借りながら、テクラの行方を追う。しかしリアにはずっと戸惑いと迷いがあった。やがて、その心に変化が訪れ……。
〈見どころ〉
ジョージア第2の都市バトゥミから、黒海沿いにイスタンブールに向かう旅路。流麗なカメラワークによる臨場感。長回しによる没入感も。
行方不明になった姪を探す旅へ……
ジョージアにルーツを持つスウェーデン人監督が、ジョージアのトランスジェンダーの少女と彼女を支える祖父との実話に着想を得て、綿密な取材のもと、トルコのイスタンブールを舞台に描いた物語。第74回ベルリン国際映画祭で、LGBTQ+をテーマとした作品に贈られるテディ賞の審査員特別賞受賞作。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆ロードムービーの定石を踏んでいるが、イスタンブールの雑踏や海峡や路地をとらえる視力が強靭だ。登場人物の情感をすくい上げる指先の繊細さも侮りがたい。眼と手が緊密に連動して、映画の立ち姿をくっきりと炙り出す。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆家族にいたら隠し、場合によっては事故に見せかけて殺す。そんな所で自分の性自認を肯定して生きるなら逃げるしかない。描かれるのは当事者ではなく、過ちに気づいて必死に姪を探す肉親リアの現実を知る行動だ。泣ける。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆ばらばらの迷える魂たちが、新たな気づきを重ねながら共に旅をする姿が美しい。強い主題の数々を登場人物に装備しつつ、記号的でも図式的でもなく、シンプルなロードムービーの時空間に柔らかく馴染ませた語り口が見事だ。
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洞口依子(女優)
★★★★☆刺激的なデビュー作の続編とも言える贖罪の旅。主人公のイスタンブールの旅を通じて性別や格差や分断を消し、新しい視点を観る者にも与え、前半緩やかだが結末に揺さぶられる。そして今作でも人が踊る場面が官能的だ。
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今月のゲスト
岡本真帆(歌人)★★★★☆姪のテクラを捜す旅。言葉も通じない地で、先の見えない心細さに共感する。頑なだったリアの心が徐々に解け、自らの境界線を越えていく。美しい街並みのなか、静かに訪れる心の変化と、リアが出した「答え」が胸を打つ。
おかもとまほ/1989年生まれ、高知県出身。東京と高知の二拠点生活を送りながら、歌人、作家として活躍中。著書に、歌集『水上バス浅草行き』『あかるい花束』、エッセイ集『落雷と祝福』などがある
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©2023 French Quarter Film AB, Adomeit Film ApS, Easy Riders Films, RMV Film AB, Sveriges Television AB 配給:ミモザフィルムズ
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『CROSSING 心の交差点』
監督・脚本:レヴァン・アキン(『ダンサー そして私たちは踊った』)
2024年/スウェーデン、デンマーク、仏、トルコ、ジョージア/原題:Crossing/106分
1月9日(金)~
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
https://mimosafilms.com/crossing/




