2月3日夜に、岸田首相秘書官で経産官僚のエース的存在でもあった荒井勝喜さんが、記者団に対してオフレコ発言としながら、LGBTQなど性的少数者や同性婚のあり方をめぐり、差別的な発言をしたとして更迭される事件がありました。
文春でも、過去に荒井さんのご子息がやらかした事件と放言について記事が再配信され花を添えております。何にせよ、盛り上がることは良いことだと思います。
〈差別発言で進退問題に〉「お巡りは高卒だろ」と吠え…荒井勝喜・岸田首相秘書官の息子が警察トラブル
https://bunshun.jp/articles/-/60548
「多様性を認めるか認めないか」と「好き嫌い」は別の話
ちょっと前まで当の総理大臣・岸田文雄さんも「同性婚で家族観や社会が変わる」とか言っていたのに、いざ荒井さんが炎上して更迭を決めるや突然LGBT関連法案の検討の促進を命じるなど、いかがしたものかと思うんですよね。しまいには「ニューヨークでは私もマイノリティだった」とかいう、当たり前やんけと思うような発言まで飛び出して、俺たちの官邸がまた一歩サファリパークに近づいた感さえあります。何なんすかね。
で、もともとの荒井さん発言というのは本来であれば好き嫌いのレベルの問題であって、本当に単なる一国民の意見だぞとするならば特段の問題にはならんものです。LGBTがマイノリティだからといって、好きか嫌いかはその人の内面の問題であって、中傷や脅迫に至らない限り「その人はそういう意見なんですね」で終わる性質のものです。「多様性を認めるか認めないか」と「好き嫌い」は、そもそも別の話なんですよね。
「オフレコ」での談話が漏れ出て報道に
ただ、仮にも政府中枢で活躍する総理秘書官であり、いずれは経済産業省の事務方トップである事務次官も目指そうかという公的な立場にある人物でもある荒井さんが、記者団の前で公然と「(LGBTなど性的少数者が)僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいたら嫌だ」と発言しちゃうのは性質が異なります。
問題は、新聞記者を中心とする記者団との間で引用しないという紳士協定を意味する「オフレコ」での談話が漏れ出て報道に至ったというところなんですが、これもまあ、記者との信頼関係の問題とされる部分です。例えば2011年、旧民主党で復興大臣を務めた故・松本龍さんが、宮城県知事の村井嘉浩さんとの会談で恫喝に近い暴言を繰り返した上で、同室していたマスコミに「これはオフレコ。書いた社は終わりだから」と宣言するも無事各紙に報じられて大臣を引責辞任させられるという事件がありました。