昨今の飲食業界は人手不足もあり、客席まで目が届かないことが多い。それを補うために導入が増えている「配膳ロボット」に対してもイタズラする客が増えていると、ファミリーレストランでアルバイトをする藤田謙一さん(仮名36歳)は言う。
「配膳ロボットの導入当初は、もの珍しさもあって、わざと進路に立ちはだかる子供とかいましたね。あと、ロボットが隣の卓に運ぶ料理を勝手に取って食べてしまうお客さんもいました。『間違えた』と言ってましたけど、信じられないですよね……」
そして、飲食業にはつきものとさえ思える、「お客様は神様」思想の、大声でクレームをつける客も、いまだに多いという。そんな客に悩まされたと話すのは、ファミレスのパート歴4年の早坂美香さん(仮名39歳)。
「いつも深夜にやってくる、40代後半くらいの女性のお客様がいました。多い時は週5くらいのペースで来られるのでアルバイトの顔ぶれも知り尽くしていて、新人が入ると『そこのキミ、ここ汚れてるんだけど』などとアラ捜しをしては、何かとクレームをつけてくるんです。最初はみんな素直に従うんですけど、あまりにも毎回小言を言われるのでだんだん面倒になり、適当にあしらうようになっていって……」
あるとき、その「小言クレーム」が、早坂さんを直撃した。
「私が彼女のいる隣のテーブルを片付けていたら、『あなたもいつも深夜に働いてるわね。そんなにお金ないの?』と話しかけてきました。私は思わずカッときて、『関係ないですよね!』と言い返してしまったんです。すると『なによその態度は!』と怒り出し、あとはひたすら『謝れ!』と詰めてくるので、ひたすら無視し続けました。
その後、本社にクレームが入ったそうですが、彼女のこれまでの迷惑行為はすでに報告済みだったため、逆に彼女が出禁になりました」
爪切り持参で爪を切りだした客
怒り出すクレーム客よりも恐ろしいのは、静かなる迷惑客かもしれない。チェーン系の喫茶店で働いている林田美奈さん(仮名20歳)は、常連客の行為に辟易としたという。
「朝の時間帯は、地域のお年寄りが多いんです。その中で、いつも朝9時くらいの決まった時間に来られて、同じモーニングセットを食べる60代くらいのお客さまがいたんですが、その日はなにかコソコソしていた。様子を見に行くと、紙ナプキンを敷いて、そこに手を広げて爪を切っていたんです。毎日通っていて、もう自宅感覚なのかもしれないですが、くつろぎ過ぎないでほしいですよね」