1ページ目から読む
2/3ページ目

ニュータウン二次相続の事情

 相続が発生したAさん宅は、敷地面積80坪に延床面積32坪の住宅が建っている。2人のお子さんたちはすでに独立され、家では奥様と2人暮らしだった。さて相続税評価額がどうなるかといえば、路線価単価は㎡当たり7万5600円、坪に直すと25万円だ。80坪の敷地だから相続税評価額は2000万円になる。建物は固定資産税評価額で500万円。合計2500万円。Aさんには家のほか現預金や有価証券で5000万円ほどの資産があり、奥様と2人のお子さんの基礎控除額合計である4800万円(3000万円+600万円×3人)を超えてしまう。しかし、遺産総額は配偶者控除1億6000万円の範囲に収まり、自宅はこのまま奥様が暮らすので小規模宅地等の特例で敷地の評価は評価額の2割、つまり400万円に減額される。とりあえずの相続にあたっては少なくとも課税の心配はなかった。

 ところがAさんの亡くなった数年後に、奥様が亡くなり二次相続が発生した。相続税評価額は7000万円になっていたが、この段階では配偶者控除も小規模宅地等の特例(被相続人と相続人が同居していないと適用されない)も適用されないため、約320万円もの税負担を余儀なくされた。

物置にはハクビシンが棲みつき…

ADVERTISEMENT

 さてAさんの息子さんもすでに還暦。自分の家は都内に構えているものの、まだ住宅ローン返済が残っている。その状況での相続税支払いは全くの想定外。さらに残されたニュータウン内の家の管理をしなければならない。妹は九州に嫁いだため、家の管理に参加はできない。隔週で自ら実家に出向き、通風や通水、掃除をする。この程度ならまだしも家の中は家財道具の山。どうしてこんなにモノをため込むのかとため息をついても、張本人である両親はすでにいない。少しずつ片づけるものの還暦を過ぎた身体には結構な重労働だ。夏はちょっと目を離したすきに広めの庭の草木が生い茂り、勝手口に置いていた物置にはハクビシンが棲みつく、軒下には足長バチが巣を作るなど散々だ。