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「アイドルと話したかった」他人のカードで116枚のCDを買った21歳女性派遣社員がはまった「1回5秒」の沼

2023/02/17

genre : ニュース, 社会

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ツイッターには参加した女性ファンの声が

 オンライントーク参加権や握手券、アイドルのCDにこうした特典をつける手法は昔からある。特典欲しさのファンが同じCDを何枚も買うことを見込んだ商法だ。かつて「会いに行けるアイドル」として売り出したAKB48の握手券がよく知られ、握手目当てのファンが手元に残った大量のCDの扱いに困るとテレビで語ることもあった。

写真はイメージ ©AFLO

 今回の事件で高橋容疑者が欲しがった「DEEP SQUAD」はコーラスグループだが、熱狂的な女性ファンを抱えるアイドルでもある。元々いた3人グループ「DEEP」にオーディションで集めた3人を加えた6人組。端正な顔立ちと甘い歌声が人気で、CDを発売する度にオンライン個別トーク会を開いている。ツイッターには参加した女性ファンの興奮の声が並んでいる。

「夢だったのかな」「余韻に浸ってる」「手を振ってくれて泣きそう」「見とれてる間に終了した…」

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「DEEP SQUAD」のメンバーたち(公式HPより)

「たくさん買えば、それだけ長く話せるから」

 こうしたオンライントークでは事前の会員登録が求められ、録音やスクリーンショットの撮影が禁じられるのが一般的だ。それでも彼女たちは事前に話したい内容を整理し、見せたい写真を手元に置く。短い時間でいかにメンバーとコミュニケーションを取るかに情熱を注ぐ様子からは、多くが1回分の5秒ではなく、何枚ものCDを買って臨んだことが窺える。中には「150枚買った」と明かすファンもいた。高橋容疑者が買った116枚は決して突出した数字ではない。

 夢中になったアイドルへの思いは、罪の意識を追いやった。他人の金をつぎ込んで得た権利を使い、高橋容疑者は夢に見たアイドルと10分間、何を話したのだろう。

 逮捕後の調べには「たくさん買えば、それだけ長く話せるから」とも供述したという。夢から覚めた後、待っていたのは刑事との長い長い個別トークの時間だった。

「アイドルと話したかった」他人のカードで116枚のCDを買った21歳女性派遣社員がはまった「1回5秒」の沼

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