捨てられない名刺=がんばった自分の証
年齢を重ね“会社員アイデンティティー”が揺らぎ、肉体的にも、精神的にも、社会的にも、それまで当たり前のようにあったモノがだんだんと奪われ、心身も衰えていく現実と向き合うのは、とてつもなくしんどい作業です。自分では肩書きや属性に身を委ねてきたつもりがなくとも、“リトル部長待遇さん”のようなものを、心の奥底に秘めた人は決して少なくありません。
実際、これまでインタビューした人の中には「肩書き、年収がよかった時代の名刺が捨てられない」ともらす役職定年者がいました。「そんな私はダメですかね?」と卑下する人もいました。
私は……ダメじゃないと思います。もちろん実際に使うのは、アウトです。しかし、戦利品を大切にすることに、なんら問題はありません。捨てられない名刺を、「机の奥にしまっておく」のは、人間臭さそのものです。机の中心においても、「心の中心=自己」におかなければまったく問題ありません。
そして、もし近い将来、自分の存在価値に不安を感じたり、路頭に迷いそうになったときには、「捨てられない名刺=がんばった自分」を見つめてください。そして、自分を褒めてあげてください。「ああ、私は結構がんばっていたんだな」と。その瞬間“リトル部長待遇さん”は消えます。きっと、「うん、まだがんばれる」と自信を取り戻すきっかけになるに違いありません。
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