「お嬢さんって要領悪いですよね」

 NHK朝ドラ「舞いあがれ!」で、ヒロインの岩倉舞(福原遥)に嫌味を連発し、合コンに勤しむIWAKURAの事務員・山田紗江。アクの強いキャラは登場ごとに視聴者をザワつかせた。演じた大浦千佳(35)が明かす“山田さん”秘話とは――。

山田さんを演じる大浦千佳(事務所提供)

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福原遥や永作博美から学んだ「現場をつくる力」

 父の会社に入った舞は、山田さんと出会う。登場からほどなく、舞への毒舌が注目されることになる。

「両親からLINEで、『舞ちゃんと仲良くしなよ』と送られてくるんですよ」

 と笑顔で語るのは、大浦本人。ドラマでも次第に舞と山田さんの関係は、打ち解けたものになっていくが、撮影現場では、主役の福原遥や福原の母親役の永作博美が、当初から明るい雰囲気を作っていたのだという。

「お二人の現場をつくる力は勉強になりました。いつも笑顔を絶やさない。撮影の休み時間でも、私は気を張っていて常に100%の力のまま。でも、私の感覚だと、お二人は65%くらいの力でカメラが回っていない時間は緊張感を維持している。ところが『本番』の声がかかると、一気に200%の力を出して役柄に入り込む。さっきまで、世間話をしていたのに(笑)。福原さんは、『さあ、行きましょう!』と声を掛け、現場を本番モードに切り替えていました」

山田は舞(左)の仕事をサポートすることも(NHK朝ドラ「舞いあがれ!」公式インスタより)

高校時代に宝塚を受験

 大浦は、1988年大阪府生まれ。近畿大学文芸学部で舞台芸術を専攻し、卒業後は、舞台を中心に活動してきた。朝ドラは「エール」に続き2作目の出演だ。

「山田を、単に嫌味を言うだけにはしたくなかった。生活のために高卒で就職したのではないか、経営者の娘である舞ちゃんに引け目があるのでは、など発する言葉の背景を考えました。私の母は、生活のために自分の夢でなく就職を選んだ。夢を追う同級生をどんな気持ちで見ていたのか聞き、参考にしました」

 大浦の演技の原体験の一つが、あの歌劇団を観たことだ。

「子どものころ宝塚歌劇団の華やかさとパワフルさを生で観て、私も立ちたいと思うように。高校1年と2年の時に1回ずつ、宝塚を受験しましたが落ちました」