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PS VR2最大のミッションは……

 しかし一方で、ゲーム機を超える高額な機器が500万台以上も売れた……のも事実です。現在、三次元の仮想世界を構築してサービスを展開する「メタバース」のビジネスが注目されていますが、ソニーはトレンドになる前からVRへの可能性を模索していたことになります。

 PS VR2のミッションは、発売から6年が経過した前世代機「PS VR」の路線をさらに拡大し、次こそVRならではのヒットソフトを世に送り出すことでしょうか。PCでは「メタクエスト」や「オキュラスリフト」など同タイプの商品も増えており、(依然としてコアな市場ではありますが)メタバースの後押しもあって市場は着実に拡大しています。そしてソニーは、ゲームで長年の実績もあり、VRの知見を積んで新商品を送り出しました。市場が大きな期待を持っていることも当然と言えるでしょう。

 PS VR2をはじめ高品質のVRは、テレビモニターに映し出す“従来のゲームとは別物”で、その体験はアミューズメントやテーマパーク的な要素があります。

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「PS VR2」の専用ソフトで、世界的な人気ゲーム「Horizon(ホライゾン)」シリーズの新作『Horizon Call of the Mountain』では、異世界に迷い込んだような映像が家庭で気軽に楽しめます。

PS VR2のローンチタイトルとして発売された『Horizon Call of the Mountain』プレイ画面

 密林では360度の切れ目ない映像が眼前に広がります。川に手を入れたくなったり、目の前のキャラクターに触りたくなったり……。キリンのような巨大な機械に踏まれそうになると圧迫感があり、ドキドキします。弓を射るときは実際に弓を引き絞って獲物を狙い、岩を登るときは両腕を交互に動かして山頂を目指し……。

 一連の映像体験は、VRでのみ再現が可能であり、プロモーション用のネット映像もありますが、魅力を伝えきれているとは言い難いものです。プロモーションをしないわけにはいきませんが、なまじVRを体験した消費者が経験則で想像して低評価をする可能性もあるわけで、宣伝泣かせと言えます。

 さらに、PS VR2は後発商品ということもあり、現在販売されている同レベルのHMDと比べると、スペック(性能)と価格のバランスで優位に立っています。とはいえ、スペックを並べて丁寧に説明しても、やはり魅力は伝わりづらいのです。