“匿名記者アカウント”の深刻な問題点
Twitter上でも、匿名記者とみられる複数のアカウントが存在する。新聞業界の未来を憂える内容のほか、仕事上の悩みや社内の人間関係について発信しているものもある。
しかしながら匿名記者アカウントについては「記者は実名で発信するべきだ」という批判もある。記者と名乗っている以上、情報の公平性や公益性が求められている節もあるだろうし、いたずらに“情報の信頼度”が上がってしまうこともある。
「記者を名乗るのであれば実名での発信にこだわるべきですよ。フェイクニュースが問題になっている昨今、その情報に関する責任の所在をはっきりしないといけない。誰が取材をして、どこの社が報じているのか。情報が溢れる現代だからこそ、必要なことではないでしょうか」(全国紙記者)
記者を名乗って他人を貶めるアカウントも
一方で、大手メディアに勤める記者Aさんは匿名記者アカウントの有用性をこう語るのだ。
「私は主に匿名記者アカウント同士で、取材のコツや記者ならではの悩みに対するアドバイスなどを共有しています。匿名だと、ざっくばらんに会社の垣根を超えて交流できるので、自社内で話しづらいことも話せるんです。記者の仕事は他の業界の友人に話をしてもなかなか伝わるものではないので、こうして情報共有できるのは本当にありがたい。
ただ、業務上で知り得た情報を私的なアカウントで発信することは、どんな会社でも基本的に認められていませんから、記者は一層注意をしないといけない。また、記者と名乗って他人を貶めるアカウントがあるのも事実です。炎上すると、記者全体のイメージが悪くなるだけなので、やめてほしいです」
桜ういろうのアカウントの持ち主である人物に電話したが、出ることはなかった。
共同通信に事実確認をしたところ、桜ういろうと2月中旬頃に懲戒処分した社員について「回答は控えさせていただきます」とし、職員によるSNSの運用についてはこう回答した。
「『ソーシャルメディアの利用に関する指針』を定め、内容を職員に周知しています。研修の機会などを通じて、引き続き、適正な利用について指導をしてまいります」
ナザレンコ氏は、桜ういろうのアカウントに対し、情報開示請求の手続きを始めているという。SNSで執拗に他人を攻撃したために、その正体が暴かれることになってしまった桜ういろう。10日間の自宅待機で自身の行動を振り返っているのだろうか。