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 同じ日の通話記録からは、菊池容疑者が世間や報道機関の追及を恐れていることが伝わってくる。「実際に手術を行う予定だった国とは別の国で手術したと言え」と小沢さんに指示した音声には次のような言葉が残っている。

腎臓の手術を受けるためにキルギスへ渡ったが、現地で断念した小沢克年さん

《この世界いろんなグレーゾーンとか秘密があるんで、とにかく手術ができるまでは(手術の内容は)オープンにしないでください。で帰ったら、ウズベキスタンで移植したって書類を作りますから。そのような形で進めていきたいんですよ。そうしないと、またキルギスとかタジキスタンとかそういう国の名前を出すと、そこへまたマスコミが電話して『日本人(の手術を)やったか』『おたくの病院でやったか』とかね、嗅ぎ回られると困っちゃうわけですよね、ハッキリ言って。そういうことも僕ら恐れているんです》

《最終的には『日本のあるお医者さんから紹介されて(手術を)やって来ました』でいいと思うんです。『そこは個人情報だから、病院名は言えません』と……(中略)。そうしないと本当にマスコミがいやらしいから、重箱の隅を突っついてくるようなことも言ってくると思うんですよ》

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キルギスの病院の様子。衛生状態は悪そうに見えたという

「生体だけど、書類上は死体。そうしないと…」

 しかし生きている人からの違法な臓器の提供では、募金をしてくれた人たちに示しがつかない。そこで菊池容疑者に確認すると、実際は生きている人からの移植であることをあっけなく認めた。

小沢 実際に移植されるのは、生体ってことでいいんですか?

 

菊池 実際は、ベラルーシは死体ですよ。ベラルーシは死体。何度もいうように。

 

小沢 カザフとタジキは?

 

菊池 カザフとタジキスタンは生体。生体だけど、書類上は死体。そうしないと、さっき言ったようにマスコミとか色んなところから攻撃されるから。書類上は死体。

 その言葉が引き金となり小沢さんは手術を断念し、2022年1月に帰国する。菊池容疑者も帰国したが、自身に迫る捜査への不安に襲われていたという。