事件の背景に厳しい看護現場
別の職員Cさんはこうも話している。
「うちの病院は利益至上主義で、採用も抑えて職員の人数もギリギリなんです。まるで十分な人員がいるかのように対外的には振舞っていますが、実際はもっと少ない。多めにサバを読んでいるんです。患者に手を出したXやYの暴行は断じて許すことはできませんが、厳しい看護現場のある種の『被害者』であるとも言えるんです」
医療現場の過酷さはつとに知られ、精神科は患者への対応も難しく神経をすり減らす職場だ。人手の少なさ、膨大な仕事量は暴行・虐待の言いわけにはならないとCさんは重々分かっているが、あえて言う。
「Xの暴行は精神状態が特に悪い患者さんを隔離する保護室という密室で行われました。病院のルールでは保護室での対応は職員2人でやることになっている。しかし、実際に2人で看護をすることは人数の問題から不可能なんです。別の職員の目があればXもあんなことはできなかったでしょう。現場を全く理解していない加藤政利院長や石川洋二事務責任者、栗原えみ看護部長はしっかりと再発防止に向けて膿を出して欲しいです」
昨年末以降、「ふれあい沼津ホスピタル」は揺れに揺れている。患者家族に対して行われた説明会では、病院側の対応に一部家族が強く抗議して紛糾。院内の研修では現場職員と経営陣が激しく衝突したという。事件の全容解明に向け静岡県警の捜査も続く。
一連の職員からの告発について「ふれあい沼津ホスピタル」を取材したが、期限までになんら回答はなかった。
まさに内憂外患。病院自身が抱える病は、果たして治せるか。
◆◆◆
「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:sbdigital@bunshun.co.jp
文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386