「患者を殴る蹴るした動画が流出したのは50代の准看護師X。40代の看護師Yは4人がけの重量のある木製の机を患者に向かって投げ飛ばした上、車椅子から引きずりおろし、踏みつけるように蹴りつけました」(現職職員のAさん)
昨年末、無抵抗の入院患者を准看護師が殴る蹴るするという衝撃的な暴行動画が流出した静岡県沼津市の精神科病院「ふれあい沼津ホスピタル」。
3月17日には東海北陸厚生局の適時調査(定期的に病院の人員、設備などを確認する調査)も行われており、警察の捜査のほか、行政の手も入り閉鎖的な精神科病棟という密室で何が起こっていたのか、全容の解明が進んでいる。
加藤政利院長らは会見で『これまでに暴行は一度もない』と発言
「うちの病院には、あかるみに出た以外にも残念ながら虐待行為があります。根本的な原因として考え得るのは、人手不足が深刻で職員ひとりあたりの業務が多すぎることです。もっと看護職員が多ければ相互チェックもできるし、XもYもストレスをため込みすぎなかったかもしれません……」(同前)
現職の職員ですら憂慮は深い。
「静岡県警は、XとYの虐待行為について他の職員への聴取を行い、捜査を進めています。事件を受けて病院が職員や患者さんを対象に行ったアンケート調査では、XとY以外にも複数の虐待情報が集まっているようです。病院内はこのような状況だったのに、昨年末に新聞やテレビを集めた会見で加藤政利院長らはのうのうと『他に暴行は一度もない』と発言したわけです。病院は否定していますが、もし虐待動画が流出しなければ、XとYの暴行についても隠すつもりだったと確信しています」(同前)
病院運営の根幹を揺るがす不正の疑いが新たに発覚
もはや職員個人ではなく、病院の体制そのものが問われている。職場を憂うるのは別の職員のBさんも同じだ。
「病院の幹部はその場しのぎで事を大きくしたくないのが見え見えなんです。しっかりと病院の膿を出さないと、患者さんが安心して過ごせる病院に変われないということが分かっていない。例えば、昨年12月の会見で記者さんの質問に幹部らは患者さんへの暴行が発覚したYを現場から外したと言っていましたが、外来で患者さんと関わる仕事を平然としていましたよ。そのような嘘を重ねる会見をしてしまう上層部をどうやって信じたらいいのでしょうか」